今私はスタートレックの最新シリーズ、ディスカバリーを観ている。これまでのシリーズとは違って、一回ごとの完結編ではなく、1シーズン13話を通じて筋がつながっており、シーズンの最終回で話が完結する仕組み。筋は悪くないのだがちょっと気になることがある。それは出演者に黒人が多すぎることだ。
1960年代の最初のシリーズでも、主役のキャプテンは白人だったが、主要な役に黒人女性や日本人男性なども混じっている多様性に富んだ人種構成だった。人気テレビ番組はほとんどが白人だらけの時代としては結構画期的だったと思う。だが、新シリーズはちょっとやりすぎで、主役の女性を始め主要な配役の半分以上が黒人。白人俳優はわき役の三枚目に押しやられ、ミニスカートやボディコンスーツの白人美女は一人も現れない。ゲストスターも格好いい役は全員黒人。他の少数派はかろうじて東洋人に香港スターのミッシェル・ヨーが居るだけで、時々顔が写る乗組員の東洋人男性は端役でほぼ台詞がない。
2~3年前だったか、アカデミー賞などでも黒人候補が少なすぎるという批判があがり、アメリカの芸能界ではテレビ番組やコマーシャルや映画などで黒人俳優をある程度の割で起用しなければならないという規則が出来たらしい。しかしこのある程度が問題。コマーシャルなんか観てるとほとんど白人が登場せず黒人ばっかり。アメリカには黒人以外いないのかと思えるほどなのだ。
さてそんな中、サンフランシスコ市の教育委員会の役員三人がリコールされた。70%以上の賛成票で弾劾されたのは委員長のガブリエル・ロペズ、メンバーのアリソン・コリンズとファウガ・モリガの三人。
サンフランシスコと言えば非常にリベラルな都市だが、それでも親たちの間では何時までたってもリモート授業だけで教室を開放しない学校への不満が募っていた。それだけでなく、教育が人種問題に重点を置きすぎており、しかも人種平等を唄いながら、実際には人種間を対立されるものだとして親たちからの評判は非常に悪い。
例えば学校を開校するかどうかという議論をする前に、教育委員会はSF地区の44の学校の名前を、学校名に使われた偉人が過去に人種差別者だったかどうかを吟味して名前を変えるべきだなどと無駄な話し合いを延々と続けていた。
また優秀な生徒だけを集めた高校への入試資格を成績ではなく人種で選考するという規則を作ってしまった。それというのも優秀校の学生は東洋人と白人が占めてしまうため、黒人やラテン系の学生にとって不公平だという理屈だ。これには地元の中華系家庭から非難囂々。子供の教育に熱心な東洋系の学生が特に不利になるこの規則には普段はおとなしい東洋系も声を上げた。
しかもコリンズが2016年に書いた侮蔑語混じりのアジア人差別ツイートが発見され、東洋系父母の怒りは頂点に達した。コリンズは副委員長という職から追われ、反対に教育委員会を訴えるなどしたため、話はこじれにこじれた。
また教育委員会は1930年代の世界恐慌の頃に描かれた壁画が、黒人や先住民に差別的だと言う理由で塗りつぶそうという決議を通したが、これには批判が殺到し、壁画は隠すのみで塗りつぶすことは阻止された。
今回の弾劾選挙は中華系の民主党登録者たちの間で積極的に運動が行われた。中華系アメリカ人民主党団体のアン・シューは、この選挙は教育委員会の反東洋人政策への制裁だと語る。
この選挙区ではなんと86%がジョー・バイデンに投票したバリバリの民主党区である。しかし市民たちは教育委員会がくだらない人種問題にばかり熱中して肝心の教育に全く力を入れていないと感じている。そしてバイデン政権も病気対策ばかりで子供たちの教育をおざなりにしているとしてバイデンの人気はどんどん下がっている。
私ははっきり言って何故東洋人が民主党など支持するのか全く分からない。東洋系は中華系に韓国系にしろインド系にしろフィリピン系にしろ家族の絆を大切にし教育熱心である。どちらかというと彼らの価値観は左翼リベラルより保守的な共和党に近いはずだ。
これを機会に東洋系は民主党の不能さに気付き、この人種(特に黒人の)への執拗なまでの拘りは決して東洋人及びアメリカ全体の役にたたないことに気付いてほしいものだ。