苺畑より In the Strawberry Fields

苺畑カカシと申します。在米四十余年の帰化人です。

左翼リベラルがトランプ支持者について知っておきたい五つの点

MSMのお薦めに上がって来た記事が面白そうなので読んでみた。Why do people still back Trump, after everything? 5 things to understand about MAGA supporters’ thinking

「これだけのことが起きた後でも何故人々は未だトランプを支持するのか?MAGA支持者の考えについて知っておきたい五つの点。」と言ったような意味だ。もちろんこれは左翼リベラルによるトランプ支持者の分析であるから偏見まるだしなのは当然だが、反対意見の人がMAGAについてどのように考えているのかを知っておいて損はないだろう。

この記事の著者はアレックス・ヒントン(Alex Hinton)というロットガース大学(Rutgers University)の教授で人類学者である。ヒントン教授は2015年からドナルド・トランプについて研究してきたという。

左翼リベラルの立場からすればドナルド・トランプが大統領として失格なのは名ハックである。そんな人たちからすれば、いったいどうすればトランプになど投票する気になれるのか不思議である。反トランプの目には2つの弾劾裁判、州および連邦レベルでの複数の刑事起訴、重罪の有罪判決と言う事実があり、トランプは民主主義に対する脅威であり、女性蔑視者であり、人種差別主義者であり、連続嘘つきであり、強姦犯であると写っている。民主党員と民主党寄りの無党派層有権者の約78%が、トランプ氏が2020年の選挙結果を覆そうとしたとされる際に法律を破ったと回答している。

教授は昨今の左右の分裂を非常に憂いており、民主党共和党もお互いを理解すべきだという考えからトランプラリーや無党派のイベントやミーティングにも参加してきた。そんななかでMAGA(Make America Great Again,アメリカを再び偉大にしよう)や鼻をつまんでトランプに投票するという共和党支持者たちとも話をした。

そして教授は多くの左側の人達はトランプ支持者について何もわかっていないと言う。左翼リベラルはヒラリー・クリントンが2016年にしたように「嘆かわしい人々」と言って無視していい人達ではない。トランプ支持者は年配で白人で地方の人で宗教心が強く教養がないと考えがちだが、実はそういうグループに当てはまらない人も結構いる。多くのトランプ支持者には色々考えた末の理由があるのだ。ではここでヒントン教授の言うトランプ支持者たちが何故トランプを支持するのかその五つの点を考えてみよう。

1.メディアによる偏向報道

左翼がトランプの失態と思う数々の点について、右翼は左翼によるトランプ錯乱症候群(Trump Derangement Syndrome・TDS)だと思っている。右翼よれば、左寄りのメディアはトランプの一言一言を分析し彼の発言を歪曲して報道する。そういう報道だけを聞いてる人はトランプに対して情熱的で非論理的な嫌悪感を抱くTDSに罹ってしまうと考えている。

私は筋金入りのトランプ支持者が、何の根拠もないのに、CNNのようなそのような「フェイクニュース(偽ニュース)」マスコミは国民の意思をひっくり返そうとする連邦政府のより大きな陰の国家策謀の一部であると主張しているのを聞いたことがある。この陰謀論を広める人々によれば、左翼や政府官僚や共和党員を自称しているが実際にはそうではない人々だけでなく、法執行機関の人々も含まれているという。

トランプ支持者の中には、1月6日の被告が迫害されているのと同じように、トランプが不当に迫害されていると信じている人も多い。(カカシ注:ほとんどのトランプ支持者はそう思っているはずだ。)

2.経済問題

「四年前と比べて今の生活は良くなっているか?」これはロナルド・レーガンの有名な言葉だが、トランプ支持者たちはこの質問に「否!」と答える。トランプ前大統領の頃の好景気をきちんと覚えているからだ。

教授によれば就職率や平均給料はバイデン政権で全体的に上がったとしながらも、トランプ支持者たちはその分インフレも爆上がりし商品の値段が20%は上がったので事実上人々の収入は減っていると考えている。

世論調査によればカマラ・ハリスよりもトランプのほうが経済政策に優れていると考えている人が多い、特に共和党支持者の間では。

3.国境警備・移民問題

トランプ支持者にとって非常に大事な問題のひとつが移民問題だ。ヒントン教授不法移民の乱入は2024年月に四年間で最低レベルまで下がったと書いているがこれはとても信じられない。2022年の世論調査によると10人に7人の共和党支持者が開けっ放しの国境は保守派白人を違法移民に挿げ替えてしまおうという陰謀だと信じていた。ヒントン教授はこれはトランプ支持者たちの妄想だと言いたいようだ。しかしすでに違法移民が自動車免許証を得ることができ、その際に居住許可もないのに投票者として登録できたりしているので、我々の懸念はまんざら陰謀論では片づけられない。

ヒントン教授はトランプがオハイオ州のハイチ移民がペットを食べていると「デマ」を使って、トランプ支持者たちが違法移民がアメリカでただ飯を食い融和しないと考えている「誤った懸念」を助長していると決めつける。がしかし、教授は共和党にとって移民問題が非常に大事な問題だと考えていることはよく理解している。2022年の世論調査によれば82%の有権者移民問題は非常に深刻な問題と答えているからだ。それでトランプは国境を閉じ1.1千万人を強制送還すると提案している。

4.実績

トランプ支持者たちはトランプの実績はバイデン・ハリスよりもずっと立証されていると考えている。そしてそれは経済や移民問題だけではない。

トランプ時代には新しい戦争は一つも起きていない。比べてバイデン・ハリス政権ではロシアのウクライナ侵攻やイスラエルによるガザ侵攻が勃発した。ヒントン教授はイスラエルが一方的にガザに侵攻したような書き方をしているが、それを書くならハマスによるイスラエルでの大規模テロを先ず書くべきだろう。そして今や中東紛争はヒズボラやフーシーらも参加して戦争は拡大している。これもアメリカが断固たる姿勢を見せないからイランがアメリカを舐めているのが原因だ。

トランプ支持者たちはこれらの戦争にアメリカの税金が使われ過ぎていると考えている。他の国もお金を出しているにもかかわらず、とヒントン教授は言うが、他の国はアメリカほどお金を出しているのか?

5.トランプのくじけない精神

ハリス支持者はトランプが民主主義にとって脅威だというなか、トランプ支持者はトランプが暗殺未遂にもめげず力強く拳を振り上げる勇敢な姿に胸を打たれるのだ。中にはトランプのことを過激派左翼による黙示から国を救ってくれる救世主のように考える人もいる。

そのようなトランプの熱烈な支持者にとって、MAGAは単なるスローガンではない。トランプ支持達にとってはMAGAこそが崩落の危機に瀕しているアメリカを救うための運動なのだ。

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ヒントン教授は明らかに左翼リベラルなのでトランプ支持者が間違った前提のもとにトランプを支持していると考えているようだが、それでもMAGAの人々が何故トランプを支持しているのかという点についてはよく理解していると思う。