苺畑より In the Strawberry Fields

苺畑カカシと申します。在米四十余年の帰化人です。

いつの間にか骨抜きになっていた特例法

最近Xで見かけたやり取りを読んでいて、え?なんか変じゃない?と思い、トランスジェンダー自認の女性(FtM)の方のプロファイルを読んでみてびっくりした。

大滝 洸(Hikaru)
 
@hikaru_acht
27歳 書き物が好きです。営業マン。一切の手術無き戸籍上の性別変更の実現(2024年5月22日)埼東千→岩手転勤 NA8C所有 日々、向上( ´ー`)y-~~

 

ちょっと待って、日本には性別変更の際には数々の条件を満たしたうえでのみ実現可能という特例法という法律があったんじゃないのか?なんで何の手術処置もしていない人が戸籍を変更できるのだ?

それで思い出したのが昨年10月に出たこの判決。「性別変更、生殖不能の手術要件は「違憲」 最高裁決定

生殖機能をなくす手術を性別変更の事実上の要件とする性同一性障害特例法の規定が憲法違反かどうかが争われた家事審判で、最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)は25日、「規定は違憲で無効」とする新たな司法判断を示した。

もともと特例法とは様々な措置を施して異性に見える人が日常生活で支障をきたさないための特別な法律というのが建前だった。だからこそ特例法を当てはめるにはそれなりの条件があったのである。

この中でも一番大切な項目は「未成年の子供がいない」というものだ。何故ならこの特例法は両親が二人とも同性になったり、成長中に片親が異性になったりして子供の成長に支障をきたしてはならないという考えから設けられたものだからである。

ところが生殖器の欠如がなくても性別を変えられるということになったら、その後の子供を作ることは可能になるわけで、現に欧米では戸籍を男性としている女性が出産する例がいくらもある。だから4番を無効とすることは3番も無効とすることになってしまい、特例法の5要件のうち二つが意味のないものとなってしまったのだ。

昨年の最高裁の判決が出た時に、これでは男性器のある男性が戸籍上女性になることが可能になるという批判の声に、5番の項目はまだ判決が出ていないのでそんなことにはならないとトランスジェンダー活動家達は言っていたが、今回、大滝洸氏のように一切の整形をせずに戸籍変更が認められたということは、5番も無効となったということだ。

つまるところ特例法は司法により完全に骨抜きにされてしまったのだ。これでは事実上、本人が異性であると言えば戸籍を変えられるという、セルフIDを認めたことになる。

私はいずれこういうことが起きるだろうと予測していた。だから戸籍上の性別を変更できるという法律そのものを撤廃すべきだと言って来たのだ。しかし特例法保持者は特例法こそがセルフIDを防ぐ最後の砦なのだと言っていた。まったく何の砦にもならなかったね。

身体を全く変えていない個人の戸籍変更が可能となった今、では今後身体の性別で区別されている多種多様の施設や仕事やスポーツなど、一体どうやって折り合いをつけていくのか、女子施設使用の規則はどうするのか、これは非常に重大な問題だ。

私はもともと女性枠という政策は反対ではあるが、女性が少ない分野の仕事や学業で女性参加を奨励しようという考えから始まったシステムがどんどん身体男性に奪い取られる可能性に関して今後日本はどうなっていくのだろうか。