事あるごとにダイバーシティーだと言ってあらゆる分野で有色人種を雇用しなければならないとハチャメチャな規則を作っているハリウッドだが、ここ二週間で大手映画会社からダイバーシティー専門家が四人続けて解雇された。
ワーナーブラザース、ディズニー、ディスカバリー、ネットフリックス、が、「多様性、平等、包括性」Diversity, Equity and Inclusion (DEI)リーダーの職をここ10日間で次々に廃止してしまった。このDEIという地位は2020年のBLM暴動の際に作られたものだが、たったの三年でお払い箱になったらしい。
私はそんな地位が新しく出来ていたということを今まで知らなかったのだが、なるほどそれでか、と思いあたることがいくつもある。
先ずディズニーのリトルマーメードを始め、やたら元来白人が演じるべき役を無理やり黒人に挿げ替えて見たり、「強い女性」と言ってスーパーヒーローがフェミニストになり、頼りになるはずの男が完全にコケにされるといった内容の映画が多くなった。最新作のインディアナ・ジョーンズではハリソン・フォード演じる主役が耄碌爺さんのような頼りない扱いになっているとかで実に評判が悪い。ともかくディズニーはここ三年不作に次ぐ不作で大赤字だが、インディアナ・ジョーンズはこれまで最高の製作費を投じての作品であるにもかかわらず興行成績は悲劇的な大赤字が予測されている。
ネットフリックスもロトゥントマトで史上最低の評価を得たアフロ黒人主役のクレオパトラなど、ともかく酷い作品が続々と出て視聴率が落ちてると言う。アカデミーも新しくできたダイバシ―ティー規則は映画関係者の間からも苦情が出ている。
私は地上波テレビは全く見ないが、それでもユーチューブを観ているとコマーシャルを観ることはある。そして最近のCMと来たら、モデルや役者はほぼみんな黒人。男女カップルだと片方が白人でも必ず相手は黒人。東洋人が出る確率も増えたが、なんといっても圧倒的に多いのは黒人だ。今のアメリカのコマーシャルを観ていたら、アメリカの人口は80%以上が黒人であとの20%に白人や東洋人やラテン系が居ると言う印象を持ってしまう。
それでもこうした配役で映画が売れるというならそれでもいいだろう。だがDEIに考慮した作品はすべて不入りで評判もしごく悪い。DEIは映画界にとって疫病神以外の何物でもないのだ。
もともとハリウッドはBLMの精神を支持していたわけではなく、BLMを支持している姿勢を見せた方が自分らの得になると思っていたから迎合していたに過ぎない。しかしBLMはすでにアメリカ社会でも人気がないだけでなく、私のような人種差別心ゼロの人間ですら、もう黒人俳優を観たくないと思ってしまうほど観客たちはげんなりしている。
私は政治思想が作品に反映すること自体は悪いことだとは思わないが、誰もお説教を聞かされるためにわざわざお金を払って映画館に足を運びはしない。映画は先ず面白くなくてはならない。そのなかでメッセージを織り込めるならそうすればいい。だがメッセージだけの映画なんて誰も観たくないのだ。
ハリウッドもやっとそれに気づいたのだろうか?