前回の続きでカリフォルニアの義務教育カリキュラムについてお話しよう。先日も150人からの父母がロサンゼルス教育委員会のビルの前で抗議デモを行ったという話はしたが、実は時を同じくしてカリフォルニアの首都サクラメントでも同じような抗議デモが起きていた。保護者達の要求は行き過ぎたLGBTQ+教育を辞めること、子供が性違和を言い出したら三日以内に親に知らせること、批判的人種理論を教えないことなどである。
こうした動きのなか、カリフォルニアのロブ・ボンタ司法局長はすでにこうした方針を決議したテメキュラ教育委員会を人権侵害の疑いで捜査し始めた。
「LGBTQ+の生徒をターゲットにした政策を採用する学区の増加は重大な懸念である。「私の事務所は状況を注意深く監視しており、トランスジェンダーや性別不適合の生徒の安全やプライバシーを損なう地区を容認するつもりはない。私たちは、学校の方針が生徒の市民権を侵害しないよう、引き続き尽力していく」
局長が言う「プライバシー」というのは、子供が学校で性違和を言い出し異性の代名詞や名前を使いだしたことを両親及び保護者に内緒にするという意味である。トランスジェンダー活動家(TRA)達は、トランスの子供たちは自殺願望傾向があると常に我々を脅かしているにもかかわらず、子供がそんな状況であることを親から隠すべきだとするのはどういうことだ?自分の子供が自殺の恐れがあるような危険な精神状態であるなら、先ず親が第一に知らされてしかるべきではないか。
州政府のLGBTQ+方針に反対している親や学校区はLGBTQ+当時者の生徒を敵視しているのではなく、その親たちの権利のために立ち上がっていると主張している。
火曜日のテメキュラ・バレー学区の会合で、ジョセフ・コムロスキー理事長は、ニューサム、ボンタ、トニー・サーモンド州教育長を、理事会メンバーを違法に脅し、脅迫しようとしていると非難した。
「もし(この方針が)違法であれば、今頃閉鎖されているはずです」と、コムロスキーは親権者通知について語った。「彼らは何もしていません。彼らは学区を荒らしたいだけなのです。」
テメキュラバレー学校区は去る7月、新しい教科書とカリキュラムを巡って州政府とやりあった。特にコムロスキー理事長は教科書に1978年にゲイとして初めて議員になったサンフランシスコ市議会委員ハービー・ミルクに関する供述があったことについて、30代で16歳の少年と関係を持っていた「ペドファイル・小児性愛者」について教えるのかと厳しく批判した。ニューサム知事はこうした批判を「攻撃的」であり「無知」であると批判。「ここはテキサスやフロリダじゃない。黄金の州だ我々の子供たちには学ぶ自由がある、おめでとうコムロスキーさん、あなたは私の注意をひいた」と脅迫ともとれる発言をした。
いや、テキサスやフロリダでないからといってカリフォルニアの父母たちが子どもたちへのLGBTQ+教育を支持しているというわけではない。知事は州が決めた教科書を使わないなら学校区に150万ドルの罰金を課すと脅した。学校区は折れて州規定の教科書を使うことにしたが、一部人権とゲイ人権運動に関してはさらに審議が済むまで延期すると発表。
しかし州知事はこれでは満足せず「歴史を「歴史を白紙に戻し、本を検閲し、偏見を永続させるデマゴーグは決して成功してはならない。「理事会の多数派のふざけた態度のせいで、テメキュラは公民権調査の責任を負うことになる。」と脅迫した。
知事の言う「歴史」とは批判的人種理論という、アメリカは奴隷制度の上に成り立った国だとか、白人は皆人種差別者だとか、ハービー・ミルクのようなゲイがアメリカにどれだけ貢献したかというような嘘ばかりである。また本を検閲しているというのも、子供たちに同性愛セックスのやり方を指南するような性的なものであり、凡そ子供が読むにふさわしくないもののことをさすのだ。
マンモス大学の世論調査(Monmouth University poll)によるとニュージャージー州の77%は子供が異性と自認し始めたら親に連絡すべきだと答えたと言う。NJ州も決して保守派の州ではない。親への連絡は共和民主双方とも過半数以上が支持している。
保守派のNPOであるカリフォルニアポリシーセンター(California Policy Center)は州司法局は法を使って学校区に対して報復と威圧しようとしていると語る。ボンタ司法局長はチノ学校区に向けて親への通知を義務付けることは生徒のプライバシーの権利を損害するものだとする手紙を送った。
「生徒の許可なくトランスジェンダーであることを公表することは、生徒がハラスメントを受けやすくなることによってカリフォルニア州の差別禁止法に違反する可能性があり、生徒のプライバシー権を侵害する可能性がある。」
生徒が学校ですでに自分はトランスジェンダーだと公表して異性装をしたり異性の名前や代名詞を使っているのに何がプライバシーの侵害だ。学校中の人間が知っているのに親にだけ知らせないなんて馬鹿げた理屈があるものか。
父母の権利団体は、父母が子供に対して法的権限を行使する権利を制限しようとする動きは、100年にわたる連邦最高裁判所の判例に違反すると反論している。具体的には、1997年のワシントン対グラックスバーグ事件での高裁判決を引き合いに出し、憲法と憲法修正第14条のデュー・プロセス条項が、"子供の養育、養育、教育を指揮する両親の基本的権利 "を保護しているとしている。
一方カリフォルニアの民主党州議会は、今後学校区が州規定のカリキュラムを拒否するのが困難となる決議案を提案中だ。法案1078は地方学校区が州規定カリキュラムを拒否した場合、州が学校区に罰金を課せるようにすること、もうひとつSB 596は教育委員会メンバーや教師らに「真剣な警戒心をもたせること」「多大なる精神的打撃を与えること」を刑事犯罪とし最高一年の禁固刑と1000ドルの罰金を課すというもの。950ドルまでの万引きを軽犯罪と買い替え、毎日のように何万ドルという損害をだし州全体の治安が乱れに乱れていると言う時に、小学生に同性愛セックスを教えない学校区の人間を一年の禁固刑に処すだ?いったいカリフォルニア州議会と知事は州民を何だと思っているんだ!
このSB596の恐ろしいところは、学校のカリキュラムに異論を唱える父母たちが、学校区の会議などで意見を述べると法的に裁かれる可能性があることである。これは明らかに人びとの言論の自由を迫害するものだ。これでは誰も州の教育政策にクチを挟めなくなる。
提案者のアンソニー・ポタンティノ州上院議員はこれは教育委員会の委員や教師らが脅迫されないために必要なのだと語る。ポタンティノはLGBTQプライド月間だけですでに2022件もの脅迫状が学校関係者や教師らに送られてきていると語る。
「あまりにも多くの学校職員が、自分たちの仕事をするために脅迫され、嫌がらせを受けている」と述べた。「教育者は、カリフォルニア州の基準に従って教科指導を行うことを理由に、脅迫や嫌がらせを受けるべきではありません。SB596は、教育者が安全に教育者であり続け、生徒の成長を支援できるようにするものです。」
ポタンティノのいう「脅迫や嫌がらせ」というのは多分、父母からの正当な苦情のことをさすのだろう。彼等のいう脅迫だの嫌がらせが実際そんなものであったためしがないからだ。しかしながらそんな手紙が本当に2200件も届いていたというなら、カリフォルニア州の父母たちは行き過ぎなLGBTQ+教育に相当腹を立てているという証拠だ。学校職員や教師らが身の危険を感じるからという口実で父母たちを黙らせようという魂胆が見え見えである。なんという独裁政権なのだろう。
この問題は多分、州に反対する学校区や父母たちから州を訴えるという方向に進展するだろう。そしてそれは非常にいいことだと思う。これまで一般の父母たちは学校でどんな過激なことが教えられていたか知らなかった。だから盲目的に学校を信用していた。そんな親たちがニューサムの独裁政治によってだんだんと目を覚ますことになるだろう。