先日世論調査専門家が「バイデン勝利は統計的に不可能ではないが先ずあり得ない」と語ったという記事を読んだ。
大統領の勝利者を予測する世論調査以外のいくつかの測定方法を使って2016年の選挙を正しく予測し、2020年もトランプが勝つと予測していた世論調査専門家のパトリック・バシャムは、先日フォックスニュースのインタビューで、「世論調査以外のすべての傾向の測定方法に反してバイデンの勝利を受け入れるということは、これらの方法の一つが今回初めて間違えたというだけではなく、すべての方法が間違っていたということになります。それは統計的には不可能ではありませんが、先ずあり得ないことです。」と語った。
ではバシャムが使った世論調査以外の測定方法というのをひとつひとつ検証してみよう。
二期目の得票数が一期目より増えた現役大統領は二期目も当選する - トランプ大統領は現役大統領として過去最高の票を得た
トランプ大統領は再選をめざす現役大統領として、過去最高数を得票した。トランプは2016年の時より1100万票も多く票を得た。これは現役大統領としては最高の増加率だ。2012年に余裕で再選したオバマ大統領は2008年の一期目選挙の時よりも3百5千万票減っていた。
黒人票とラテン票が増えた共和党候補は当選する - トランプの黒人票とラテン票は双方激増した
先ずトランプ大統領への共和党内部からの支持が抜群に高く、なんと95%の共和党有権者がトランプに投票した。特に地方の労働階級の男性からは圧倒的な人気だった。
また以前にも書いたように、トランプ大統領は少数民族の間でも共和党大統領としては非常に高い支持を得た。トランプ大統領の黒人からの支持は2016年にくらべ50%も増加。くらべてジョー・バイデンの黒人支持率は低く90%を切っている。黒人支持率が90%を切った民主党候補は選挙に負けるのが普通だ。
またトランプ大統領はラテン系からも人気があり、全国的に35%の支持率だった。(私の記憶が正しければジョージ・W・ブッシュが楽勝した時のラテン系支持率はそれまでの最高で18%だった。)民主党のラテン系支持率が60%以下の場合、民主党候補がフロリダ、アリゾナ、ネバダ、そしてニューメキシコで勝つことは計算上あり得ない。(現在アリゾナとネバダはバイデンが勝ったことになっている)
ベルウエザー地区の勝者は当選する - トランプは18区のうち17区で勝利している
アメリカにはベルウエザー地区と呼ばれて、これらの地区で大多数を取った候補者が当選するという歴史的傾向がある。これもトランプが 18区のうち17区を勝ち取るという圧勝。過去の歴史でひとつだけ例外があるのがニクソン対ケネディの選挙だが、あの時もケネディーがマフィアを使って大規模不正を行ったと言われている。
中西部の州は同じ方向に傾く - 激戦州が何故か他と違う結果に
中西部のミシガン、ペンシルベニア、ウイスコンシンはオハイオとアイオワと同じ方向に傾くのが普通。そしてオハイオはフロリダに従う傾向がある。それでよく、フロリダとオハイオで負けた候補は勝てないと言われている。ご存じの通りバイデンはフロリダとオハイオの両州で負けている。ラストベルトと言われる地域ではトランプが圧勝した。にもかかわらず、バイデンはミシガン、ウイスコンシン、そしてペンシルベニアで勝ったことになっている。
しかもこれらの州におけるバイデンの勝利はデトロイト、フィラデルフィア、そしてミルウォーキーにおいてのみ黒人票が他の都市よりもとびぬけて多かったことが原因とされている。 バイデンは同じ州の別の地域では黒人からそんな支持を受けていないにも関わらずである。当選した大統領としてこのようなことが起きるのは非常に珍しいことである。
より多くの郡で勝った候補者が当選する ー バイデンが取った郡は史上最低数
バイデンが史上最高の票を得たということになっているが、バイデンが獲得した郡は史上最低の524郡。オバマ大統領は873郡も獲得した。にも拘わらずバイデンがオバマより多く票を得たなんてことがあるだろうか?
人気候補者の下では上院や下院議員も検討する - バイデンにはコートテールがない
普通人気のある候補にはコートテール(着物の裾)と言って、同じ投票用紙に載っている上院や下院議員候補者も健闘するものだ。たいていの人は自分の支持党の候補者に投票するので、大統領候補が人気があれば、その下の議員もその党の候補者に入れるというのが普通。にも拘わらず、今回の選挙では下院は共和党が議席を伸ばし、上院も共和党が多数を保てそうな勢いである。また州レベルでも共和党は一州も多数議席を失わなかった。
大統領予選のアイオワコーカスの勝利者は当選する ー トランプ大統領は95%の支持率でアイオワコーカス楽勝だった
バシャムは挙げていないが、私が聞いたもうひとつの測定方法に大統領予選のアイオワコーカスで70%以上の支持率を得た候補は大統領選でも当選するというのがあった。トランプ大統領は他に挑戦者がいなかったことでもあり、アイオワでは95%の支持率で楽勝。くらべてバイデンはベスト3にも入らず大敗している。この方法は過去27回の選挙で間違ったのは2回だけ。一つは忘れたがもう一つはケネディー対ニクソン。
不可能ではないが先ず考えられない結果
これらの測定法は不正があったとされるケネディ対ニクソン選を除けばほぼ100%の確率で正しく勝者を予測してきた。もし今回、これらの予測が間違っていたというなら、今回に限り、測定法の一つか二つが至上初めて間違いを犯したというだけでなく、これらの測定法のすべてが初めて間違いを犯したということになる。そのようなことは統計上不可能とは言えないまでも、先ず考えられない結果である。それはコイントスを100回やって100回表が出るようなものだ。
バシャムは選挙当日に起きた説明できな不思議な現象についても言及しているが、長くなるのでそれは回を改めて書くことにしよう。