苺畑より In the Strawberry Fields

苺畑カカシと申します。在米四十余年の帰化人です。

トランプ支持企業を次々に潰しにかかる大手銀行、バイコットで反撃する保守派たち

アメリカではトランプ大統領を応援していた企業や、保守派とされる中小企業が大手企業から多大なる虐待を受け倒産の危機にさらされている。及川幸久さんのこのビデオでもチェイス銀行から取引停止になったコーヒーショップチェーンの話が紹介されているが、今回は前々から起きている大手企業による保守派潰しとそれに反撃する保守派達の話をちょっとしてみたいと思う。

2020年、トランプ政権がまだ健在の頃、ゴヤフーズというキューバ系の食品会社の社長がトランプを応援するような発言をしたことがあった。それに怒った民主党過激派下院議員のアレクサンドリア・オカジオ・コーテズ(AOC)がゴヤフーズをボイコットしようと呼びかけたところ、保守派がゴヤフーズを守れと言ってかえって買い始めたため、かえってゴヤフーズの売り上げが10倍も上がり、同社のRobert Unanue社長はAOCに今月の優秀社員賞を与えるとツイートしたほどだ。このように不買運動ではなく買運動のことをボイコットにかけてバイコットと呼ぶ人たちも現れた。実は苺畑家ではすでにゴヤフーズのピラフや缶詰黒豆を買っていたので、いつもより余計に勝って応援した。

このボイコット運動はかえって逆効果となってしまったわけだが、しかし問題は一般消費者のボイコット程度では済まなくなっている。

及川さんのビデオで紹介されてるCovfefeコヴフィフィ)というコーヒーチェーンは突然としてクレジットカードの決算の契約をしていたチェイス銀行から取引を一方的に停止され、未決算の支払いもすべてキャンセルされるという酷い目にあった。コヴフィフィはこれまで五年間何の問題も起こしておらず、銀行から取引停止されるようなことは何もしていないという。それで同社の社長は自分たちのトランプ支持及び愛国心精神がチェイス銀行上層部の勘に触ったのではないかと話している。下記の左側の写真でも解るように、コヴフィフィのロゴは明らかにトランプ大統領をかたどったもの。

EXCLUSIVE: Pro-Trump Covfefe Coffee Sales Skyrocket Nearly 8,000% After They Were Canceled by Chase Bank

この話を聞いた保守派消費者たちは一斉にバイコットをはじめ、なんと同社の売り上げが80倍になってしまった

チェイス銀行と言えば、作家で映画製作者でもあるデニーシュ・デスーザも、彼の会社のクレジットカードが突然チェイス銀行からキャンセルされたという話をしていた。デスーザはチェイスとは何十年来の付き合いで口座のある支店長とも仲良し。一度も支払いを滞納したことはなく、これまで全く問題を起こしたことがない。にも拘わらず何の理由もなく突然取引を停止されてしまったのだ。デスーザは保守系作家であり映画製作者でもあり、ヒラリー批判やオバマ批判の映画を撮ってオバマ政権から選挙法違反という口実で実刑2年を食らうと言う虐待にあった人だ。その後トランプ支持を表明しトランプ大統領から恩赦を受けている。デスーザ曰く、自分のトランプ支持姿勢が災いしてチェイスからキャンセルされたのだろうと語っている。

保守派ポッドキャストやニュースサイトを観てるひとなら誰でも知っているマイピロ―のマイク・リンデル社長もバリバリのトランプ支持者。もともと麻薬中毒者から立ち直って企業し枕やシーツといった寝具を売って大成功した人だ。しかし先の選挙で不正行為があったとあちこちで発言したためか、あちこちの小売店から販売を拒否されてしまい、今はほぼオンライン販売のみになっているが、注文が殺到して郵送が間に合わなくなっているそうだ。

私は純粋な資本主義を信じる者として、民間企業が誰と商売をするかは彼らの自由であり政府がそれを法律で規制すべきではないという姿勢だ。しかし、それは民間企業が資本主義の基本に従って、誰と取引することが一番自社の利益につながるかという判断でしている限りはという条件付きだ。もしほぼインフラの一部となっている大企業が政府と結託して気に入らない中小企業を潰しにかかったとしたら、これはもはや自由競争とは言えない。自由競争のない資本主義などありえない。政府が企業と結託して勝者と敗者を決めるというなら、これはまさにファシズムである。

独裁政権が自由競争を嫌うのは、色々な中小企業が沢山あると政府による統括が困難になるからだ。特定の産業を一部の大企業が仕切っていれば国民の統括がやりやすい。「間違った」思想を持った国民は商売も出来ず銀行口座すら開けてもらえないとなれば生活していくことが出来なくなる。

先日よもぎねこさんなぜデルタやコカ・コーラや大リーグ野球がジョージ州の選挙法改正に反対したりするのかというお話をされており、コメンターのベヒモスさんがこれらの企業は"Virtue Signaling"をしているのだと説明していた。Virtueとは道徳観念と言った意味でSignalingとは合図という意味。つまり「自分たちが如何に崇高な道徳観念を持っているかという意思表示」をしているのだという意味。だが、よもさんもおっしゃっている通り、国民の70%以上が同意しているジョージアの改正法に抗議することで、いったいこれらの大企業は誰にシグナルを送っているのだろうか?

よもさんも指摘しているように、自由競争を尊重する企業であれば、トランプ政権の方がバイデン政権よりもずっと良かったはずだ。トランプは法人税を下げ、外国(特に中国)に進出していた企業をアメリカ国内に呼び返すことに成功した。トランプ政権下における景気は大繁盛。史上何十年ぶりという失業率の低下。企業ならバイデンよりトランプ政権を好むはずではないのか?それなのに何故大企業が一斉にトランプ個人やトランプの企業やトランプ支持起業を一斉に攻撃しはじめたのであろうか?

それは、大企業は今自分らの居る地位を永久的に守りたいからだ。自分らは自由主義のおかげで今の地位を築いたわけだが、いざトップに立ったとなると、ルールを変えて競争相手をことごとく蹴散らそうというのである。そのためには自分らと癒着してくれる政治家が必要なのだ。だがトランプはそういうゲームに付き合わない。大企業主の御曹司として何不自由なしに暮らせて行けたのに、あえて父親の援助なしで自分のブランドを築き上げたトランプは曲がったことが大嫌い。だから経済界の言いなりにもならないし、体制派の政治家たちともなあなあな関係にならない。トランプがリベラルからも保守派からも嫌われたのはそれが原因なのだ。

さて、トランプが政権を去りバイデンが政権を握った今、自由を愛するアメリカ人はいったいどうしたらいいのだろうか?このまま左翼大企業が政府と癒着してやりたい放題をするのを指をくわえて見ているしかないのか?

いやそうではあるまい。ゴヤフーズやコヴフィフィやマイピロ―の件でも解るように、アメリカにはまだまだ購買力のある保守派市民がいくらでもいる。我々が左翼独裁政権下で生き延びようというのであればコヴフィフィのスポークスマンが言っているように、左翼や大企業に支配されない独立した経済体制を作る必要がある。

言論の自由を守ろうとして潰されかかったパーラーの件でも解るように、我々保守派は基盤となるインフラを自分たちの手で作り上げなければならない。もう他人が作った基盤の上で安心して座っているわけにはいないのだ。そのことに多くの保守派が気づき始めている。