私は普通政治討論会というのは全然好きではないのだが、昨晩のスティーブン・クラウダ―のヤジを飛ばしながらの生配信がおもしろいので全編観てしまった。トランプとハリスの討論会と違って今回のJ.D.バンス(共和党)とティム・ウォルツ(民主党)の副大統領候補討論会は非常によかった。スティーブン・クラウダ―もデイリーワイヤーのベン・シャピーロたちもバンスの今回のパフォーマンスは近年行われた討論会で最も良かったという意見だった。
では掻い摘んでどのような話題が取り上げられたのか見て見よう。主催はCBSで司会者はマーガレット・ブレナンとノラ・
訳は全文ではなく要約するのであしからず。
中東問題
質問:本日イランはイスラエルへの最大の攻撃を始めたが、アメリカとイスラエルの合同反撃で攻撃は失敗した。弱体化したとはいえアメリカはイランはテロのスポンサーとして最大の脅威と考えている。そして核兵器開発完了まで数週間と言われている。ウォルツ知事、あなたに最後の決断をする権限があった場合、イスラエルによるイランへの先制攻撃を支持するか反対するか?
ウォルツ:イスラエルが人質を取り戻しガザの人道的危機を終わらせるために、イスラエルが自国を守る能力を保つことは基本的なことだ。アメリカが安定した指導権を持つことはイスラエル及び同盟国のために必要な基本的なものだ。今回の反撃でもわかるようにイスラエルのパートナーとしてアメリカが指導権を握ることが基本的に大切である。
**カカシ注:ウォルツは「基本的」という言葉が好きみたいで連発した**
前回の討論でも解ったように、80近いドナルド・トランプがラリーに集まった人数にこだわってみたりするのは重要ではない。トランプとその側近はトランプがいかに危険な人物であるか解っていない。トランプは国の最高司令官としてふさわしくないと周りの人たちも認めている。
ハリス副大統領はこの安定した指導力がある。トランプはプーチンや北朝鮮と仲良くするなど同盟国を統一するにはいい加減過ぎる。私が副大統領になったら、私は我々と同盟国の軍隊を守り、敵には攻撃には代償があると言うだろう。
バンス:その質問に答える前に自己紹介をしたい。多くのアメリカ市民は我々のことをよく知らないだろうから。私は労働者階級で育った。私の母は生活保護を受けていた時期もあった。母は私が子どもの頃薬物依存症だったため祖母が年金で私を育ててくれた。私は海兵隊に志願してイラクに出動した。その後軍人奨学金で大学へ行った。
**ティム・ウォルツはことあるごとにバンスがエール大学に行ったエリートだと繰り返しているので、先手を打ってバンスは自分の苦労した生い立ちを述べたのである。**
なので私は副大統領となることは私のアメリカンドリームを実現させてくれた、この国への多大なる感謝の意を込めている。最も重要なのは多くの人が夢をかなえられないと思っているいま、ホワイトハウスに立派な指導者がいあればトランプをもう一度大統領にすればその夢は叶うと皆さまを説得したい。
質問の答えだが、ウォルツ知事は今トランプが混乱を招いていると言ったが、トランプは抑止力を使って実際世界に安定をもたらした。攻撃をしたイランはカマラ・ハリスの政権のおかげで1000億ドルの未凍結資産を受け取った。その金でイランは今回の攻撃に使った武器を手に入れ、折あらばアメリカにも攻撃しようとねらっている。ドナルド・トランプは平和を得るためには力が必要であることを理解している。
さて先制攻撃だが、イスラエルが自国の安全を守るために何が必要かは彼らが決めることである。そして我々は同盟国が悪者と戦っている時はどこであれ同盟国を援助すべきである。それがイスラエルへの正しい対応だ。
ウォルツ:イランの核兵器開発が進んだのはドナルド・トランプの気まぐれな政策のせいだ。イランがアメリカの航空機を撃墜した時、トランプがしたのはツイートしたことだ。それがトランプの外交能力だ。今年の4月や今回とも安定した指導力のせいでイランの攻撃ははねのけられた。我々の同盟軍は強い。其れこそハリスが供給しているものだ。
バンス:イランの核兵器開発が完成間近だというが、誰が過去三年半副大統領をやっていたのだ?ウォルツ知事は10月7日を取り上げたが、何時イランやハマスの攻撃がおきたのか、それはカマラ・ハリスの政権の時だ。ウォルツ知事はトランプのツイートを持ち出したが、トランプは賢い外交で平和を保っていた。私は40歳だが、在籍中に一度も戦争が起きなかった大統領はドナルド・トランプだけだ。
地球気候変動
質問:ハリケーンへリーンのような気候変動の悪影響を減らすためにトランプ政権はどういう責任を持っていると思うか?
バンス:まずハリケーンへリーンについて、できるだけ多くの命を救うために、連邦政府としてできる限り強力かつ積極的な対応をとりたい。もちろん、その後、その地域の人々の再建を支援する。そして、ドナルド・トランプが再び大統領になったとき、政府はこの国の市民が災害に見舞われたとき、そのことを第一に考えることを約束する。
**バイデン・ハリス政権が十分に救援対策を取っていないことへの批判である。**
バンス:無論、地球気候変動問題は重大な問題である。民主党は二酸化炭素排出量が気候変動の原因だというが、それが本当だとして、ではどうすればいいのか。そのためには製造産業をアメリカに取り戻すことだ。なぜならアメリカが世界で一番清潔な経済をもっているからである。カマラ・ハリスの政策は中国や他の世界でも最悪に汚染されている国々により多くの製造業を依存することになった。であるから我々が本当に清潔な空気や水が欲しいのであれば、アメリカの労働者とアメリカ国民に投資することである。カマラ・ハリスの政策はその正反対である。
**うま~い!気候変動の話を産業の話にすり替えてしまった!**
ウォルツ:ハリケーンヘイリーンに関しては、知事協会の共同責任者として地元の知事たちと協力して緊急対策に挑みたい。 気候変動に関してはドナルド・トランプは過去に捏造だといい海岸沿いの所有地を増やすと冗談まで言っていた。バイデン・ハリス政権はインフレ削減法のもとにEV技術に投資し国中で2000以上の職を作ってきた。また北アメリカで最大のソーラー製造工場も作った。
バンス:もしカマラ・ハリスが気候変動がそんなに深刻だと信じているなら、もっと製造とエネルギー生産をアメリカ国内ですべきなのだ。しかしそれが行われていない。つまりハリスは自分の言ってることを信じていないのだ。「綺麗なエネルギー」というならアメリカ人の税金を中国産のソーラーパネルを購入することに使うべきじゃない。ソーラーパネルはアメリカ国内で製造すべきだ。(ウォルツのミネソタでも製造しているを受けて)一部はそうだがほとんどが中国産だ。特に部品は。もしきれいな環境をつくりたいなら国内のエネルギー生産に投資すべきだ。我々は原子量発電所を過去40年間で一つしか作っていない。自然ガスにももっと投資すべきだ。カマラはその正反対のことをやっている。だからエネルギーの値段が跳ね上がりその分気候が悪くなっている。
ウォルツ:トランプは気候変動をデマだと言って、石油会社の重役をマール・ア・ラーゴに連れて行き、自分の選挙運動のために金をくれ、好きなようにさせてやる、と言う。それ以上のエネルギー政策は、まさにカマラ・ハリスがやっていることであり、それこそ雇用を創出することになるのだ。
**ウォルツはあくまでトランプが気候変動を信じていないと主張し、バンスは気候変動を信じるならカマラ・ハリスのやっていることはまるで役にたっておらず逆効果であることを強調した。同時にバンスは中国からアメリカの産業を取り戻すべきだという別な話に持っていくことに成功した。**
移民問題
質問:バンス上院議員、あなたの選挙運動では大量の強制送還をすることを掲げているが、具体的にどのようにするつもりか。例えば違法移民である両親とアメリカ生まれの子供を引き裂くのか?
バンス:強制送還の話をする前に、先ず流入を止めなければならない。我々はカマラ・ハリスのおかげで歴史的な移民危機に瀕している。カマラ・ハリスがドナルド・トランプの国境政策をすべて取り消したいと言い出したからだ。強制送還の一時停止、不法滞在者の非犯罪化、我々のシステムに存在する亡命詐欺の激増など、94の大統領令が門戸を開いた。それが意味するのは、大量のフェンタニルがこの国に入ってくるということだ。私にはオピオイド中毒と闘い、麻薬から足を洗った母親がいる。私は、カマラ・ハリスが記録的なレベルでフェンタニルを私たちのコミュニティに流入させたせいで、中毒と闘っている人々がセカンドチャンスを奪われることを望んでいない。この流入を止めるためにはドナルド・トランプの政策を再開しなければならない。
**いいぞ、こうなったのも、もとはと言えばカマラ・ハリスのせいであることを強調している。**
最初にしなければならないのは先ず犯罪者から始めること。約100万人が違法に入国した以外になんらかの犯罪を犯している。まずこういう人たちから強制送還していくべきだ。そして違法移民がアメリカ市民の仕事を取らないようにすること。最低賃金未満の仕事しか見つからなければ多くの人が帰っていくだろう。
今現在、国家安全保障省が見失ってしまった32万人の子供達がいる。彼らの多くが性奴隷や麻薬の運び屋になっている。家族離散の方針はカマラ・ハリスの国境開放によっておきたのだ。カマラ・ハリスが本当のリーダーシップをみせたいなら自分の間違いを認めてドナルド・トランプの政策にもどることだ。
ウォルツ:カマラ・ハリスは国境に面する最大の州カリフォルニアの司法局長として人身売買や麻薬などの罪で国際暴力団を起訴した経験がある。だからこそだからこそ私たちは、この国がこれまでに見たことのないほど公平で厳しい移民法案を提出したのだ。国境警備隊は、ここに必要なのはこれだと言った。彼らは専門家だ。ウォール・ストリート・ジャーナル紙の商工会議所は、この法案を通せと言った。カマラ・ハリスはそれを後押しした。国境警備隊1500人を増員し、麻薬の摘発を行い、司法省の予算を投入して、この件に関する裁決を迅速化する。しかし、この法案が可決され、実際に取り組む準備が整うと、ドナルド・トランプは「ノー」と言い、選挙戦の争点になるから反対票を投じろと言った。それにバンス自らもはトランプの強制送還政策は実行には移せないと批判していた。
**この法律はウクライナとイスラエルへの支援金とパッケージになっており、それが原因で上院議会が通過させなかった。これは国境法案と言う名のウクライナ支援法案だったのだ。それにこの時点でトランプは現役大統領ではなかった。さらにアメリカ生まれの子供と違法移民の両親を引き裂くのかという質問が繰り返されたが、バンスはあくまですでに家族離散の方針はカマラ・ハリスのものであると繰り返した。ウォルツは新しい法律を通せばいいと繰り返したが、バンスは必要なのは国境警備隊の仕事を邪魔せず違法移民を厳しく取り締まれるようにすべきなのだと強調した。**
バンス:オハイオ州スプリングフィールドをはじめ、この国中の地域社会で、学校は溢れ、病院は溢れ、住宅はまったく手が届かなくなっている。オハイオ州スプリングフィールドで私が最も心配しているのは、カマラ・ハリスのオープンボーダーによって生活を破壊されたアメリカ市民だ。恥ずべきことだ。
**ここで司会のマーガレット・ブレナはオハイオのハイチ人は違法移民ではなく、一時的に在留権のある保護資格があると注釈を入れた。ブレナはそのまま話題を変えようとしたが、すかさずバンスはこの一時保護者資格がどのようなものであるかを説明し始めた。***
バンス:マーガレット。規則では君たちはファクトチェックをしないことになっていたはずだ。君が私をファクトチェックするなら事実を説明する必要がある。CBP1というアプリによる申請があり、それを使うと違法移民が亡命や仮釈放を申請できる。カマラ・ハリスの国境開放によって法的地位を与えられる。彼らはグリーンカードを申請して正式に10年間待った人々とは違う。
**バンスは続けて詳しい説明を始めたが、司会者たちはバンスのマイクを切ってしまった!**
経済問題
**ウォルツはハリスも自分も中流階級出身だ、とまたトーキングポイントを始めた。色々と言っていたのだが実は私はあまり興味ないので、これは省く。経済に興味がないわけではないが、ハリスにはこれといった政策はないのだ。ただ面白かったのはバンスの反応。バンスはハリスにそんな立派な計画があるなら何故過去三年半それをやってこなかったのかと聞いた。ハリスは副大統領だがバイデン政権のナンバー2なのだ。
比べてドナルド・トランプ時代は景気が良かったことは誰でも知っていることなので、バンスはその業績を示せばいいだけなのでこれは彼には楽なことだった。バンスはこの問題でウォルツがハリスを弁護するのは難しいだろう。気の毒だとまで言ったのには笑ってしまった。
ウォルツとバンスの過去の発言
**これははっきり言ってどうでもいいようなことではあるが、ウォルツは昔から色々と嘘をついている。これは天南門事件があった時に中国に居たと以前言っていたが、実はその時ネブラスカ州に居たということがわかっている。これに関してウォルツはネブラスカにそだったとか訳の分からないことをぐちゃぐちゃ言っていたが、結局自分は時期を間違えていたと認めた。いやいや天南門事件があった時にそこ場にいたかどうかを間違えるわけないだろう。
**バンスに対しては昔ドナルド・トランプを批判していたことについて質問された。
バンス:まず私は常にオープンであり、時にはもちろん大統領と意見が合わないこともあるが、ドナルド・トランプについて間違っていたという事実についても極めてオープンにしてきた。まず第一に、私が間違っていたのは、彼の記録を不正に捏造したことが判明したいくつかのメディアの記事を信じたからだ。しかし最も重要なことは、ドナルド・トランプがアメリカ国民に賃金の上昇、手取り収入の増加、普通のアメリカ人のために働く経済を実現したことだ。安全な南部国境。率直に言って、私は彼が実現できるとは思っていなかった。そして、失敗したとき、失言したとき、何かを間違えて気が変わったとき、アメリカ国民に正直に話すべきだ。
**気が変わることはいくらもあることだ。こうやって正直に自分が間違っていたと認めることはすがすがしい。
人工妊娠中絶問題
質問:ウォルツ知事の州は中絶規制が一番緩い州だが、トランプ前大統領は9か月目まで中絶をしていることを許可しているというが、本当にそうなのか?
**実はウォルツの州では生まれる数分前までの後期中絶が合法なのだが、もし中絶が失敗して胎児が生きたまま生まれてしまった場合に、その命を守らなければならないという法律をウォルツが覆した。そのせいですでに8人の胎児が命が奪われている。
ウォルツ: ミネソタ州の法律はそのようになっていない。そのようなことは書かれていない。トランプはロー対ウエードの判決を覆したのは自分が最高裁判事を選んだからだと威張っている。それでトランプは決断は州に戻したと言っている。
**ここでウォルツは中絶が受けられずに中絶薬を使って死亡してしまった女性の話をもちだし、中絶が違法な州ではこのような悲劇が起きていると指摘した。しかしウォルツが取り上げた女性の死は中絶が間に合わなかったわけではなく、手術の予約の時間に遅れたため中絶薬を処方され、そのせいで死んだのだ。中絶薬は非常に危険な薬だと言う話であり手術が受けられる云々とは関係ない。
これに関するバンスの答えは歯切れが悪かった。バンスは反中絶派だがトランプは全面的禁止を唱えていないので、なんかどっちつかずの話かただ。
バンス:共和党員として、この国で罪のない生命を守りたいと誇り高く思い、弱者を守りたいと誇り高く思っている私としては、わが党は、米国民が率直に言って我々を信頼していないこの問題で、米国民の信頼を取り戻すためにもっともっと良い仕事をしなければならないと思う。(略)民主主義が時に厄介なものであるのと同様に、この問題を扱う適切な方法は、有権者に決断を委ね、各州に中絶政策を任せることです。そしてそれが、非常に大きく、非常に多様で、正直に言うと、時には非常に厄介で分裂した国において、最も理にかなった方法だと思う。(略)
前半終わり
Read the full transcript of Tuesday's VP debate between Tim Walz, JD Vance (msn.com)