苺畑より In the Strawberry Fields

苺畑カカシと申します。在米四十余年の帰化人です。

未成年の性自認肯定治療は自殺願望治療には役立たない、新しいフィンランドの調査に虹色活動家たちが大パニック

数日前に報道されたこのニューヨークポストの記事を本日発見したので、昨日のアビゲイル・シュライアーの本と関係あることでもあり、ご紹介しよう。記事の著者はベンジャミン・ライアン(Benjamin Ryan Published Feb. 24, 2024, 7:00 a.m. ET)この記者は中道派のゲイと言う話だ。

小児の性転換治療を支持する運動は、小児の医療介入は「医学的に必要」であるだけでなく、真に「命を救う」ものであるという主張の上に成り立っている。

しかし、この主張が真実かどうかを解明しようとした研究者はいない。

これまでは。

フィンランドで行われた大規模な新しい研究によると、思春期や若年成人に異性間ホルモン剤や性別移行手術を施しても、自殺による死亡に大きな影響はないようである。

え~、大問題!だって今までジェンダークリニックで性転換を強く奨励されるとき、医療関係者は親たちに向かって「生きた息子と死んだ娘ならどちらが欲しいか?」という恐ろしい選択に迫られていたのだ!

さらに、若者をジェンダー・クリニックに送るほど深刻なジェンダーの苦悩と、自殺死亡率の高さとは無関係だったという。では何が高い自殺率と直接関係があるのかというと、それは精神病専門家へ通った回数と関係があるという。つまり、個人がどれだけ深刻な精神疾患を病んでいるかが原因だというのだ。

というわけなので、調査の結論は二つ。

  1. 性違和患者の自殺率は普通よりは高いが、精神を病んでいる若者の間では稀である。 
  2. このグループの高い自殺率は性違和が原因ではなく、より深刻な別の精神疾患にある。

よって調査団は、これらの若者に緊急に必要なのは性転換治療などではなく、もっと包括的な精神治療であると締めくくっている。

この調査はトランス自認の若者の高確率な精神病はトランスジェンダーに対する厳しい社会からの批判によるものなのか、それとも多くのジェンダー論批判派がいうように、性自認が原因というより、既にある精神病への対処法としてトランスを自認しだすのかという議論の真髄に触れることになる。

「生きた娘と死んだ息子ならどちらが欲しいか」という質問に関して、2月17日に発表されたこの新しい研究のリーダーであり、フィンランドタンペレ大学病院の思春期精神科医であるリイッタケルトゥ・カルティアラ(Dr. Riittakerttu Kaltiala)博士は、「親にそのようなことを言うのは最も非倫理的です。それは事実に基づいていない」と語る。

カルティアラ博士自身、かつては未成年の性転換治療の支持者だった。彼女は2011年にフィンランドで最初の小児ジェンダー診療所を設立した人だ。しかしすぐに彼女はこの治療に疑問を持つようになった。

それまでにも小児の性違和治療に関しては種々の研究がされたがどれも科学的であるとは言えなかった。そこでカルティアラ博士のチームはフィンランド全国の健康記録を元に調査を始めた。1996年から2019年までの間に、22歳以下(平均18歳、最年少8歳)でフィンランドの2つの診療所のいずれかを初めて受診した2,083人全員の記録を調べた。そして研究者たちは、約17,000人の一般のフィンランド人からなる比較グループを作成した。

性同一性障害を持つ38%がホルモン治療をしたり性転換手術を受けたりしていた。確かに性違和患者の自殺率は一般人の三倍であったが、0.1%:0.3%、彼等が性転換治療を受けていたかいないかとは関係が無く、性別転換治療を受けていても、その後精神科へいく頻度を減らすことに役立っていなかった。つまり性転換治療は若者の精神疾患の治療として効果がないと言う結果が出たのだ。

この調査結果は今まで性違和肯定治療を奨励してきた医療関係者が言っていた「肯定治療は命を救う」という論説と真向から対立することになる。道理で活動家たちがヒステリーを起こしているわけだ。

WPATHのアメリ支部USPATHの前会長だったエリカ・アンダーソン精神科医MtF)はこの研究は「波紋を呼ぶだろう」と発言。またWPATHの現会長マーシー・バウワーズ(MtF)外科医も若者への医療介入を見直す時だと述べた。というのも、「自殺は、ジェンダーを肯定するケアの有効性を測る方法としては、今も昔も貧弱だからです」と語る。バウワーズ医師は若者の性転換手術外科医としては第一人者である。彼がこんなことをいうとなると、この問題は明らかに転機を迎えていると言える。

また、青少年の性の悩みに対する優先的治療としてカウンセリングを呼びかけるTherapy Firstのポール・ガルシア・ライアン代表は、性違和と自殺を単純に結びつける行為は、かえって「傷つきやすい若者の自殺願望を引き起こしたり、悪化させたりする」可能性があると述べた。

無論このような調査結果は性自認肯定治療こそが性違和の最適な治療であり命を救うと信じている活動家からしたら不都合であることは言うまでもない。記事が掲載されるやいなや、虹色活動家からのライアンへの攻撃は凄まじく大量の批判が集まっている。特にひどいのは著名なLGBT活動家グループであるGLAADのシニア・コミュニケーション・ディレクターが、ライアンを「ジャンク・サイエンス」を推進していると非難し、この研究をあえて報道したことでライアンが同性愛者であることから「自己嫌悪に陥っている」とレッテルを貼っている。

実際に研究方法や結論の良し悪しを議論するのではなく、単に研究結果を報道した記者を個人的に攻めるというのは卑怯であり幼稚である。問題なのは性違和を持つ若者への最適な治療は何なのかということであり、もし現在の性自認肯定治療が治療として効果がないのであれば、不可逆的で危険な治療をこのまま続けるべきではない。命を救うからという理由で極端な治療に甘んじた家族や当事者にも医療関係者は多大なる責任を負っているのだ。

私はずっと以前から性同一性障害の最適な治療法が性転換手術であるという考えに疑問を持っていた。これは子供だけでなく大人も同じことだ。自分に性違和があると訴えるひとに必要なのはホルモン治療でも整形手術でもない。先ずどうしてそんな違和感を持っているのかという根本的なところから始めるべきなのだ。妄想に合わせて身体を変えていくのではなく、その妄想を取り除くことに努力すべきである。何故ならもし後になって心が晴れ、性違和が無くなった時、変えてしまった身体は元には戻せないからだ。

カルティアラ博士とチームの研究結果は下記。

All-cause and suicide mortalities among adolescents and young adults who contacted specialised gender identity services in Finland in 1996–2019: a register study | BMJ Mental Health