苺畑より In the Strawberry Fields

苺畑カカシと申します。在米四十余年の帰化人です。

トランプ大統領暗殺未遂であらわになったFBIの警護の甘さ

昨日演説中のトランプ前大統領が狙撃され間一髪で悲劇を免れたというニュースをXで読んで、あり得ないと思ったのは私だけではない。私は事件の動画を観る前から、これは責任者は切腹ものだなと思った。

フォックスニュースで元FBIの特別エージェントで海軍特別部隊シール隊員で、今は重要人物の警護をする警備会社を運営しているジョナサン・ギリアムの解説を聞くにつけ、トランプ大統領の周りにいるシークレットサービス不能ぶりに憤りを感じる。

Former FBI Special Agent 'astounded' over secret service response to Trump rally shooting (msn.com)

シークレットサービスの動きの鈍さ

まずギリアム氏は銃撃があった直後のエージェントたちの動きののろさはあり得ないと語る。非常事態に正しい行動をとったのはトランプ大統領がすぐにポディウムの下に隠れたことだけで、そのエージェントたちがトランプの身体の上に身をかぶせるまでかなりの時間がかかっている。また、トランプ大統領がこぶしを振り上げてファイトと叫んだのは勇ましいとはいえ、エージェントたちはトランプの頭が丸出しになるような状況を許すべきではなかった。特にトランプの正面に居る女性のエージェントは背が低すぎてトランプの頭を守れていない。エージェントは必要とあれば銃弾を自分の身体で受け止めなければならない立場の人間である。トランプの身体を全面的に覆えなければ意味がない。

またトランプがこの時点でどのような負傷を負ったか不明である以上、もし重症を負っていたら即医療措置が必要なので、もっと迅速に彼を装甲車に運ぶ必要があったとギリアム氏は語る。エージェントがどういう行動をとるべきだったかというお手本がみたいなら1981年にレーガン大統領が撃たれた時の動画を観てみればわかる、とギリアム氏が言うのでそのビデオをみてた。

同ビデオの19秒目くらいに銃声が聞こえるが、一人のエージェントがレーガン大統領を迅速に車に押しこみ、その前にもう一人のエージェントが身体を大きくして銃弾を防ぐ恰好になる。そして45秒目のところで実際にこのエージェントは弾を受けて重症を負う。

注目すべきは銃声が聞こえてからレーガン大統領が現場から立ち去るまでの時間がほんの十数秒であること。犯人がレーガンを含め四人を撃ったとはいえ、あっというまに犯人の上に何人ものエージェントが山積みになったことだ。私は当時このニュース映像を見てエージェントたちの敏速な動きに感銘を受けた。それにひきかえ今回のエージェントたちの動きの鈍さといったらない。銃声が聞こえてからトランプが装甲車にのるまで二分近くかかっている。

警備区域が狭すぎる

犯人が居た近隣のビルの屋上はトランプ氏から130ヤードしか離れていなかった。腕のいい狙撃兵ならAR15の射程距離は300ヤードであり、人の頭を打ち抜くのは朝飯前だ。何故そんな近くにあるビルの屋上を閉鎖しておかなかったのか。

また、このビルの傍の芝生に多くの人たちが集まっており、ビルの屋上に登っていく犯人の姿を目撃している点について、ギリアム氏はそんな近くに持ち物検査もされていない一般人が沢山居たことにも問題があると語っている。

ギリアム氏がいうに警備対象となるべき区域が狭すぎたというのだ。

銃を持った犯人を目撃した男性が近くに居た警官に報告したが、その警官は何もしなかったと証言している。これについてもギリアム氏はシークレットエージェントと地元の警察との打ち合わせが前もってされていないことが原因だという。

どんな場合にどんな行動をとるべきかという訓練が前もってされていれば、何か起きた時にすぐに対応できる。しかしあらかじめ打ち合わせが出来てないと、異様な状況を察知しても警官とはいえ咄嗟には行動に移せないのだ。

狙撃兵の不可解な行動

犯人が8発も撃った後で、別のビルで警備にあたっていた狙撃兵が犯人を狙撃し射殺した。彼のことを英雄だという人がいるが、私はそうは思わない。地上に居た一般人が屋上で銃を構えている犯人に気付くくらいなのに、他のビルの屋上で360度すべてを監視しているはずの狙撃兵が犯人が実際に発砲するまで気付かなかったなんてことがあるか?

もし本当に気付かなかったというなら職務怠慢で解雇されるべきだし、一体どんな訓練を受けているのかFBIは徹底的に調査する必要がある。

DEIのせいで質が落ちているFBI

大統領や元大統領の周りにつくシークレットエージェントはFBIのなかでもエリート中のエリートであるはずなのに、言っちゃ悪いがそのなかに身体の小さい女性が混じっているというだけでなく、あらゆる面でこの警備チームの不能ぶりが目につく。1981年にレーガン大統領を守った頃のFBIと比べて今はかなり質が落ちているように感じる。

ポッドキャスターのコーターリングは、バイデン政権が多様性だの平等だの包括性だの(DEI)と言って実際に実力のある人ではなく政治的に正しい(ポリコレ)の人たちを採用していることに問題があるのではないかと批判する。

単なる失態なのか、意図的なのか

トランプ前大統領の警備を担当しているのはトランプ氏の個人的なボディーガードではなく連邦政府から任命されたFBIのエージェントたちだ。だからもしバイデン政権がトランプを亡き者にしようとしているとしたら、故意に警備を緩くしなくてもエージェントのなかでも不能な人間ばかりを集めて警備に当たらせたら済むことだ。こんなことは言いたくないが、陰謀があるとしたらそういうやり方をしているのかもしれない。

この暗殺未遂で残念なことにトランプ氏の傍に居た観客数人に弾があたり、一人がお亡くなりになり数人が重症を負われたという。亡くなった方には心の底からお悔やみを申し上げる。そして怪我をされた方々の早い回復を祈る。