苺畑より In the Strawberry Fields

苺畑カカシと申します。在米四十余年の帰化人です。

神の子は売り物じゃない、子どもの人身売買を描いた実話に基づく映画「サウンドオブフリーダム」を左翼メディアがQアノンの陰謀論だと批判する訳

7月4日の一日売り上げが超大作のインディアナジョーンズ5を上回ってしまった話題の映画サウンドオブフリーダムを観て来たので、忘れないうちに感想を書いておこう。実はこの映画、ここ数日間で、なぜか左翼メディアがQアノンの陰謀論映画だと叩きまくってる。下記はその一部。

この映画がディズニーによって5年もお蔵入りしていたという話は前回したが、子供の人身売買は悪いというのは誰でも同意できることのはずで、それを訴える映画をQアノンの陰謀論だの被害妄想を煽っているだのと叩くというのはいったいどういう神経なのだろう。

ともかく先ず話のあらすじから始めよう。予告編はこちら(https://youtu.be/Rt0kp4VW1cI

あらすじ:これは実在する人物の体験談が元となっている映画だ。アメリカの国土安全保障局で小児性愛者の摘発に携わっていたティム・バラード隊員は何百人もの小児性愛者を逮捕してきたが、犠牲になっている子供たちを誰一人として救出することが出来ないことに憤りを感じていた。アメリカ国内のエージェントである彼は他所の国で誘拐され売られている子供たちを救う権限を持っていなかったからだ。そこである時、一週間だけ特別な許可をもらい、取り押さえた犯人を泳がせてメキシコから一人の子供をアメリカにつれてくるよう誘導する。それが成功して男児ミゲルを小児性愛者から救出する。救出したミゲルはほんの8歳で、性的に虐待された新しい傷跡が体中に残っていた。ミゲルを迎えにきた父親ロベルトに引き渡すと、ミゲルは別れ際にティムに一緒にさらわれた姉ロシオを取り戻して欲しいと頼む。自分にも男児とその姉と同じ年齢の子供がいるティムは迷うが、上司を説得してコロンビアへと捜査に向かう。しかしティムが考えだしたおとり作戦はアメリカ人エージェントとしては管轄外であり上司は納得しない。諦めて今すぐ帰国しろと命令されるティム。ティムは仕事を辞任してコロンビアに残り子供たちを救うべきかどうかアメリカの妻キャサリンに相談の電話をする。妻は「仕事を辞めて子供たちを救ってきなさい」と迷うティムを励ます。

映画感想

映画は冒頭から人々の心をつかむ。ハンドラスに住むロベルトは娘ロシオと息子ミゲルとの三人暮らし。或る日ジゼルという若く美しい女がやって来て、ロシオは美しく才能があるのでモデルのオーディションを受けるべきだとロベルトを説得。その時帰ってきた息子のミゲルと共に数日後にダウンタウンにあるホテルのようなところへ子供たちを連れてくるように言われる。行ってみると数人の子供たちがすでに部屋で待機しており、カメラなども用意されている。子供たちと一緒に部屋にはいろうとするロベルトに、ジゼルは保護者は入れないと言い、7時になったら迎えに来いと言って扉をしめる。数時間後言われた通りに子供たちを迎えにいくと、なんとホテルの部屋はもぬけの殻。子供たちも撮影器具もない。ショックを受けたロベルトは外へ飛び出すが、周りには人影一つなかった。このシーンは予告編にも使われている衝撃的なシーンである。

私はこれを観ていて昔読んだ「安寿と厨子王」を思い出した。人攫いというのは昔からあるものだが、こうした人さらいは今でも非常に多く起きている。映画によれば今現在奴隷として生きている人の数は奴隷制度が合法であった時代よりも多く、しかもその多くが幼い子供たちだという。さらわれた子供たちはコンテナに荷物のように詰め込まれ諸外国へ性奴隷として売り飛ばされていくのである。

題材がかなり厳しい内容ではあるが、子供が虐待される描写などは全くない。ただそういうことが起きているだろうと想像できるような描写はある。ティムは仕事柄何千という児童虐待の動画を観て、精神をやられそうになったとインタビューでも答えていたが、ティムが画像を再生してじっと見ているときの辛そうな顔で、その画面にどんな酷いことが描かれているのか想像できる。中南米暴力団やコロンビアの反政府ゲリラとのやり取りがあるにも関わらず、画面上での暴力描写はほとんどない。

前回も書いた通り、この映画は1400万ドルというこの手の映画としてはかなりの低予算だが、CGIを駆使したスーパーヒーローのような大型映画よりもアクションシーンは迫力がある。おとり作戦で犯人グループを摘発するシーンや、主人公がコロンビアの密林の中まで子供を救いに行って反政府ゲリラに襲われるシーンなどは緊張感で手に汗握る迫力がある。

この映画には主人公ティムの他に何人かの英雄と呼んでいい登場人物が現れる。コロンビア警察のホルヘは仕事とはいえ危険な捜査に命を張ってティムに協力する。コロンビアで名の知れた元ギャングの親玉で前科者だが、今は自腹で子供たちを買い取って救い出しているいバンピノという男も裏社会のコネを使ってティムにとっては強い味方となる。大捜査の資金援助をし、おとり捜査で金持ち小児性愛者に扮して一役買う実業家のポール。彼等は自分らのやっていることがどれだけ危険か承知している。一歩間違えば殺されること間違いなしの捜査である。にもかかわらず一人でも多くの子供たちを救いたいという信念で動いているのだ。彼等こそがどんな派手なコスチュームに身を纏っているスーパーヒーローよりも本物の英雄である。

この映画には生意気で鼻もちならない女は出てこない。派手なアクションシーンもない。ただただ地道に仕事をする男たちの姿が描かれている。テーマは重苦しいものだが悲しくてオイオイ泣くような話ではない。さらわれた子供たちのことを思うと胸が締め付けられるほど悔しくて、あまりの感情が呼び覚まされたため泣くのを忘れてしまうほどだった。

主役のティムを演じるジム・カビーゼルの地味な演技だが、こういう仕事はやたらに感情的になっては務まらない。だがエージェントといえども人間だ感情はある。その冷静な風貌の内側からあふれ出る悲しみと怒りと信念がにじみ出る演技がすばらしい。

バンピノを演じるビル・キャンプもいい味が出ている。ティムからカルテルとして金儲けをし悠々自適な隠居生活をおくれるはずなのに、なぜ子供の救出などという活動をしているのかと聞かれた時、神の導きがあった時逆らうことは出来ないと答えるシーンはこころにグッとくる。

実業家ポールを演じるエドワルド・ベラステギ(Eduardo Verástegui)は凄い男前なのだが、役柄はプレイボーイではないため、おとり作戦のためにティムやバンピノからプレイボーイな演技を指導されるシーンは面白い。

ともかく俳優陣は皆力強い演技をしている。子役たちの演技も達者で、特にロシオ役クリスタル・アパリチ(Cristal Aparici)は自然ですばらしい。

何故か左翼リベラルメディアからは酷評ばかり

さて、こんな素晴らしい映画であるにもかかわらず、何故か左翼リベラルメディアからは酷評ばかりが目立つ。これについてフォックスニュースはこのように書いている。(Human-trafficking film 'Sound of Freedom' trashed by liberal outlets as 'QAnon-adjacent' | Fox News

 

複数のリベラル系メディアはここ数日、新作映画『サウンド・オブ・フリーダム』を "QAnonに隣接する"、"QAnonにふさわしい "と酷評し、人身売買を題材にしたこの映画を陰謀論者の餌食に追いやった。

英国の『ガーディアン』紙とウェブサイト『Jezebel』は、ジム・カヴィーゼル主演のこの映画は、米国国土安全保障省の捜査官が南米で人身売買業者から2人の幼い子どもを救出するという実話に基づいており、フリンジ陰謀論を鵜呑みにしていると非難されている右派コミュニティ、QAnonと癒着していると主張した。

エンジェル・スタジオが製作し、7月4日の連休に公開されたこの映画は、実際の地下性奴隷売買の裏側を暴露する一方で、そのような陰謀論には一切関与していないが、両アウトレットは、この映画とその興行的成功を貶めようとして、この映画を右派過激派と結びつけた。

なかでもひどいのはローリングストーンの記事だ。記事の見出しは「『サウンド・オブ・フリーダム』は脳ミソの弱いパパのためのスーパーヒーロー映画」となっており、映画の内容をこのように結論付けている。DeepL翻訳なのでちょっと解りにくいがこんな感じだ。

バラード、カヴィーゼル、そして彼らの同類たちは、児童の性的人身売買という著しく誇張された 「伝染病 」をめぐって何年もモラル・パニックを煽り、その多くが陰謀論者の迷宮やQAnonのコミュニティに人々を誘導することで、『サウンド・オブ・フリーダム』を妄想ではなくドキュメンタリーとして受け入れるよう大衆に呼びかけた。要するに、私は映画館で、彼らの最悪の恐怖が確認されるのを見に来た人々と一緒にいたのだ。

要するにローリングストーンの記者はこの話は誇張された妄想でありQアノンの陰謀論だといいたいらしい。しかしこれは実際にティム・バラードが率先して行ったおとり作戦の体験談であり、映画の最後では実際の記録動画も出て来る。ローリングストーンはこれらで救出された子供たちや逮捕されたペドたちも映画製作者の妄想だとでも言いたいのか?

前回もお話したように、この映画自体はすでに5年前に完成していたが、配給権を持っていたディズニーがずっとお蔵入りにして公開しなかった。ジム・カビーゼルによると、この映画の公開に当たっては、いたるところで公開を阻止しようという妨害に遭ったと言う。

いったいハリウッドは何をそんなに恐れているのだろうか?左翼リベラルはいったいこの映画の何が気に入らないのだろうか?単に大手映画会社の超大作が次々に失敗しているなか、低予算の地味な独立映画を成功させたくないだけなのか、それとも子供の人身売買というテーマに加害者として思い当たることでもあるのか?

物語の元となった体験をしたティム・バラードの話を聞いていて、左翼リベラルがヒステリーを起こしている理由に思い当たった。それはひとつにバラードはバイデン政権の国境政策に非常に批判的であるということ。今アメリカのメキシコ国境の状況は悲惨なものになっている。トランプ前大統領はメキシコを通じて違法移民が大量に流れてこないように、メキシコ及び中南米の国々に圧力をかけ、国境沿いに壁を建築するなど積極的な対策を取ってきたが、バイデン政権になった途端、そのすべての方針が白紙に戻ってしまい、ないに等しい国境を越えて中南米からさらわれてきた子供たちがどんどん性奴隷としてアメリカ国内に流れてきている。この映画によってその事実があからさまになることをバイデン政権押しの左翼連中が恐れているのではないだろうか。

もう一つは私が常々批判しているトランスジェンダリズムにも関連している。ティムはデイリーシグナルのインタビューのなかで、彼が欧州で見つけた小児性愛者の教理についてこう語る。

  • 子どもを親から引き離す ー政府こそが子どもの教育ができると言う考え
  • 子どもにポルノを見せて、性的に洗脳する
  • 神を教育現場から排除する -宗教は邪魔になる
  • 子どもが同意できると主張する、-子供の性行為同意年齢をどんどん下げようとするのもこの一つ

ティムはこのリストを読んでいて胸が悪くなったという。なぜならこれこそが左翼お目覚め主義連中のアジェンダであると気が付いたからだ。

ティム・バラードも主役のジム・カビーゼルも敬虔なキリスト教徒であることを隠しておらず、なにかと神の教えについて語るので、それだけでも左翼リベラルメディアは宗教右翼への憎悪を隠せない。しかし問題はそれだけではない。彼等は左翼リベラルが強く推している子供へのグルーミングに真っ向から挑戦している。こんな映画の存在は左翼リベラルのアジェンダにとって邪魔でしょうがないのだ。

だから彼等はこの映画をこき下ろし、これ以上人々が観に行かないように必死なのである。しかしすでに人々の口伝えで派手な宣伝もしていないこの映画はどんどんその評判を増している。左翼連中がどれだけ騒ごうと、すでにパンドラの箱は開けられてしまったのだ。