苺畑より In the Strawberry Fields

苺畑カカシと申します。在米四十余年の帰化人です。

思考訓練、反証不可能な陰謀論

私は昔から陰謀論には興味がある。拙ブログでも何度となく陰謀論について書いてきた。陰謀論者が使う詭弁はいくらもあるが、陰謀論を見抜くうえで一番注目すべきな点は「反証不可能な理屈」である。科学的調査というのは、もしも「Aが真実であるならばBという現象がみられなければならない」という反証可能なものから始まらなければならない。ところが陰謀論者の話はその反証が不可能なのだ。

以前にも引用した天文学者で作家だったカール・セーガンによる思考実験をおさらいしてみよう。

「セーガンは、友人に「うちのガレージには炎を吐く竜がいるんだ」と打ち明ける。友人がガレージに行ってみると、がらんとしており何もない。「どこに竜が?」と友人。「じつは透明でね」とセーガン。ならばと友人は、床に小麦粉をまいて足跡をつけてみようと提案。「でも竜は浮いているからね」とセーガン。友人は負けじと赤外線カメラで映せばいいと主張するが、セーガンは「透明な炎は熱がないからね」とかわす」

竜の存在は証明することも、否定することもできない。このような議論を「二重基準の論証(special pleading)」という。証拠を見せろという相手に対して、自分勝手に基準を操作して煙に巻いてしまうことだ。そして、これは陰謀論では一般的に行われている。

実は先日も私はこの陰謀論者にXで出会ってしまった。面白かったのでちょっとここで紹介しよう。彼はBさんとしておこう。Bさんは普段はトランスジェンダリズムについてはまともなことを書いているのだが、なぜかトランスジェンダリズムの黒幕は米国民主党とその支持母体である「シオニスト軍産複合体・投資家・大金持ち」だというのである。私はトランスジェン―イデオロギーの裏には投資家や大金持ちの後ろ盾があるということは否定しない。これは私も拙ブログで何度も書いてきたことだ。そしてバイデン政権及び民主党はこの陰謀に加担しているということも完全に同意だ。

しかし私が同意できないのは、これにシオニズムが関わっていると言う点だ。私が思うにこれは単純に昔からあるユダヤ金融陰謀論である。彼の米民主党シオニストの関係そしてジェンダイデオロギーの認識はひどく歪んでいる。

米国リベラルは新自由主義的拡大植民地主義ですから親イスラエル。 国連の停戦決議に拒否権を使ってたのはバイデン民主党政権 戦争は終わってしまえば儲かりません。そこで反イスラエルをソロスが支援してるマッチポンプ。(米国民主党の支持母体)は 【シオニスト軍産複合体・投資家・大金持ち】 この勢力はジェンダーイデオロギーによる日本の植民地支配と同じです。

新自由主義(米国民主党)は動き出したら止まらない原発みたいなもんで、常に利益を出し続ける必要がある、そこで地球上で最後に残った植民地、人体に手を付けたんです その経済戦争よる日本侵略がLGBTカルト トランプはモンロー主義です。

先ずこの前提が完全に間違っている。イスラエル植民地主義ではない。イスラエルは自国以外の国を侵略したことは一度もない。また、私はアメリカの左翼リベラルは大嫌いだが、左翼リベラルでよその国を侵略し植民地にしようなどと言ってる人は居ない。共和党ジョージ・W・ブッシュが大統領だった頃、ブッシュ政権イラク侵攻に強く反対したのは左翼リベラル達だ。当時戦争反対のデモ行進をしょっちゅうやってたのも彼等である。彼らが植民地主義者なら何故イラク侵攻に反対などするのか?イラクを侵略してイラクの石油を乗っ取ってやろうぜとブッシュ政権に味方すべきだったのではないか?

しかしBさんにはこの質問にちゃんと答えがある。(ちゃんとと言えるかどうかは微妙だが)Bさんは現在の民主党の植民地政策は実際によその国を侵略してそこの市民を奴隷とするようなやり方ではなく、イデオロギーによって人々の精神を侵略する政策を取っているという。そしてその最たるものがジェンダーイデオロギーであるというのだ。

確かにジェンダーイデオロギーを広めているのは左翼リベラルであり米民主党である。しかしこれは植民地政策と言えるだろうか。これはグローバリズムと言った方がよくないだろうか?アメリカの左翼リベラルは国単位ではなく国境をとっぱらって世界をひとつにしたいという考えだ。

また米国リベラルが親イスラエルという説だが、リベラルの巣窟のような教育界では長年にわたり反イスラエル教育がされている。エリート大学各地でユダヤ系学生たちが暴力を含む数々の嫌がらせや学校ぐるみの弾圧を受けていることはすでに何度も紹介している。Bさんがシオニストとグルだと言う民主党もこうした左翼リベラルによるユダヤ人弾圧を見て見ぬふりをしている。

アメリカの各地で起きている親パレスチナによる地方政府の議事堂乱入や、高速道路の交通遮断や、クリスマス時におけるニューヨークを始め各地の大都市で親パレスチナ・反イスラエルの暴動をバイデン政権は厳しく取り締まっていない。2021年1月6日の保守派抗議者たちに、議事堂付近で記念写真を撮った程度のおばあちゃんをスワットチームを送って逮捕したりしている民主党なのにである。

そしてジェンダーイデオロギーを持っている人でイスラエルを支持している人を私は見たことがない。親パレスチナのデモ行進で「パレスチナ支持のクィアー」といって虹色の旗を持ったトランスジェンダーの写真ならいくらでもみたことがあるが、クィアーフォーイスラエル!なんて言ってる人はみたことがない。もしジェンダーイデオロギーシオニストの差し金なら何故トランスジェンダリズムと一緒に親シオニズムの運動もしないのだ?おかしいではないか?

もちろん陰謀論者のBさんはこのような現実に惑わされたりはしない。Bさんは私が経済を理解しておらず表面しか見ていないと嘲笑う。彼はシオニストシオニズムの宣伝をしないのはジェンダーイデオロギーと違ってシオニズムは金にならないからだという。いやそれはおかしいだろう。現にスターバックスマクドナルドのオーナーがユダヤ系だというだけで世界的なボイコットが始まっている。イスラエル製品をすべてボイコットしようというBDSという運動を煽っているのも左翼リベラルだ。イスラエルの製品がボイコットされることがいったいシオニストにとってどんな経済的利益に繋がると言うのだ?

それを指摘しても、彼はこれはマッチポンプなのだという。マッチポンプというのは自分で火をつけておいて自分で火消しをするという意味のはずだ。Bさんはシオニストたちが故意に反イスラエル感情を煽っているというのだろうか?だとしたら何のために?

もしアメリカがイランの凍結していた資産を解放したせいで、イランの支援を受けたハマスイスラエルに戦争をしかけ、その応戦のために戦争を始めたイスラエルアメリカから武器を売りつけるという陰謀があったというなら、たしかにそれはマッチポンプと言えるだろう。しかしそれはアメリカにとってはいいかもしれないが、イスラエルには何の得にもならない。

というとBさんはイスラエルはガザ付近で発見された石油が目当てなのだといいだす。イスラエルが戦争を始めたのは10月7日のテロ攻撃のせいだというと、その攻撃は石油が発見された後の出来事だと言い出す。それじゃあなにかい、あのテロ攻撃はイスラエルによる自作自演だとでもいいたいのか?

認識が甘いですね イスラエルへの侵略のきっかけはガザ国境付近で膨大な石油が発見された為 米国民主党の押しを経て覇権帝国主義の侵略 イスラエル単独じゃ出来ない グローバルサウスvsグローバルノースですよ 表面的物を追っても何も見えません 戦争で誰が得をするのか?

少なくともイスラエルハマスが戦争をやってもアメリカには何の得にもならない。だいたいアメリカには石油が有り余るほどある。バイデンが自国の油田を掘るのを止めたので輸入に頼っているが、トランプ時代は石油は自給自足でき輸出すら可能だった。だからなにもイスラエルに戦争をけしかける必要などない。それどころか戦争になれば同盟国であるアメリカはイスラエルに経済的支援をしなければならなくなり、アメリカが得をするどころか損をしてしまう。

Bさんは何故か現実に目の前に見えていることは証拠として受け入れず、見ることのできない陰謀が裏に隠されていると言い張るのだ。つまり証拠が見えないことが陰謀のある証拠というわけだ。

そして陰謀論者によくあることなのだが、彼等は自分らで言う陰謀がどのようなものなのかをはっきりと説明することが出来ない。

シオニストジェンダーイデオロギーを世界中に広めることでシオニストはどんな得をするというのか?もしこれが、ジェンダー治療に必要な薬を多くの人に買わせてイスラエルの製薬会社を儲けさせると言う陰謀だというならわかる。だがBさんはそうは言っていないのだ。彼はあくまでこれは植民地政策だというのだ。いったいどんな植民地なのか私にはさっぱりわからない。

また、イスラエルがガザの石油欲しさに戦争を始めたというなら、10月7日のテロなどという口実は必要ない。イスラエルは何時でもガザに攻め入ることが出来た。ガザからはちょくちょくロケット弾が飛んできていたのだから、その気になればいくらでもガザ侵攻の口実はあった。1200人もの自国民を虐殺させ250人の人質を取らせるなんて馬鹿げたテロを煽る必要は全くなかった。

それとトランプ大統領モンロー主義という話だが、確かにトランプは孤立主義だ。だが孤立主義というのは外交を疎かにするという意味ではない。現にトランプは中東諸国と交渉してイスラエルと正常な交流を結ばせようと努めた。はっきり言ってアメリカの歴代大統領でこれほどのシオニストは存在しない。

共和党モンロー主義ですからイスラエルの侵略は秋の大統領選でトランプ共和党が99.9%勝ち、イスラエルの侵略は終わり、ジェンダーイデオロギーによる日本ヘの植民地支配も終る(LGBTイデオロギーは)経済戦争です。ジェンダーイデオロギーイデオロギーによる植民地支配 ラーム・イスラエル・エマニュエル大使バイデンが任命した LGBT理解増進法はバイデンの圧力作られました。

トランプ大統領イスラエルに向かって早く仕事を終わらせろと言っている。これは彼がモンロー主義だからではなく、戦争が長引けばイスラエルにとって不利になるからだ。またジェンダーイデオロギーは欧米ですでに崩壊しつつある。ジェンダーイデオロギーは世界征服を達成する前に内側からどんどんく崩れているのだ。しかしイスラエルが戦争に勝って終戦を迎え、ジェンダーイデオロギーが自然消滅しても、Bさんは自分の陰謀論が正しかったとほくそ笑むのだろうな。