苺畑より In the Strawberry Fields

苺畑カカシと申します。在米四十余年の帰化人です。

保守派市民運動の勝利!大手農機具販売チェーン店が消費者の要求を聞き入れDEI方針を放棄

数週間前、私は偶然ロビー・スターバックという保守派ポッドキャスターがアメリカでも大規模な農機具販売チェーン店トラクターーサプライカンパニーがお目覚め主義方針を起用しているという話をしている動画を観た。これはロビーの視聴者でケンタッキー州のトラクターサプライに勤める従業員が、従業員休憩室に掲げられたレインボーの旗の写真を送ってきたのがきっかけだった。最初の写真は休憩室の自動販売機に虹色の長い帯が掲げられていたものだが、二枚目の写真はセンターの二階と三階の踊り場に虹色の旗が何枚も吊るされているものだった。従業員ロッカールームにも虹色旗、また別の部屋にはBLM関係のポスター、従業員用テレビモニターにはLGBTQ+の映像。

同会社のウエッブサイトには多様性・平等・包括性(DEI)のページがあり、CEOの長文のメッセージが掲載されていた。そして如何に同会社がDEIに努力しているかを示すかのように人種別の新雇用の表まで掲げてあった。

その成果もあって、トラクターサプライは人権委員会(Human Rights Committee)から非常に良い成績をもらっていた。特に50点満点中50点を獲得した包括性福利として挙げられていたものは、

  1. 同性及び他性別のパートナーに医療保険や他の福利を提供する
  2. 同性異性を問わず家族にベネフィットを与える
  3. トランスジェンダ従業員に公平な医療を提供する(性転換医療を含む)
  4. LGBTQ+特別手当を提供する

この他にも従業員に対してインターセクショナリティーに関する訓練を行うなど、ともかくお目覚め主義には求めるすべての項目を満たしていたのだ。

それでロビーは自分のポッドキャストのなかでトラクターサプライを利用している人々に同会社がこのDEI及びLGBTQ+や気候変動やその他のお目覚め主義迎合を止めない限り同会社を利用しないとボイコットを訴えた。そして何故自分達がボイコットをするのか同会社に伝えようと呼びかけたのだ。

そしてなんと本日、トラクターサプライ社は一切のお目覚め主義を放棄すると公表した。A farm-supply chain vowed to cut DEI roles amid pressure. Outcry followed. (msn.com)

国内最大手の農業資材小売業者のひとつであるトラクター・サプライ・カンパニー(Tractor Supply Company)は木曜日、他の顧客や擁護団体の反発を招いた右派の圧力に対応するため、多様性を重視する役職を削減し、二酸化炭素排出量の目標を撤回すると発表した。

テネシー州に本社を置くトラクター・サプライ・カンパニーは、いくつかのプログラムについて顧客からの批判を受け、今回の変更を行ったと声明で発表した。また、LGBTQ+擁護団体であるヒューマン・ライツ・キャンペーンへのデータ提出を中止し、プライド・フェスティバルや投票イニシアティブのスポンサーも辞退することを誓った。

「お客様を失望させてしまったという声をお聞きしました。「このご意見を真摯に受け止めました」。
ニューヨークの動物保護団体、LGBTQ+の団体、黒人農家を支援する団体など、保守的な活動家たちからは祝福の声が、その他の団体からは困惑の声が上がった。

これは凄いことだ。ほんの数週間のボイコットでここまで全面的に会社の方針を変えてしまうとは、よっぽど批判が殺到したに違いない。いや、それより問題なのはボトムラインだ。フィナンシャル・タイムズ紙によると、同社の株価は過去1ヶ月で5%下落したという。

ロビーはこのことについて、ブラックロックのようなESGだのDEIだのを奨励している大企業はTSCの顧客ではない。一人ひとりの農家がTSCのお客様なのだ。彼らを無視したら去年ディラン・モルベイニーを起用して大損失を出したバドライトの二の舞になってしまう。すぐにそのことに気付いたTSCは懸命だと言える。

一般の消費者にも強い力があるのだ。いつまでもお目覚め主義に迎合する必要はない。お目覚め主義は商売には何の役にも立たないどころか邪魔な思想なのだということに早くもっと多くの企業が気付いてくれることを願う。

 

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