サンフランシスコの教育委員会役員アリソン・コリンズが2016年にツイッターで東洋人に対して人種差別的な侮辱をSNSで連投していたことが発見され、周りから辞任を求められている。しかし本人は文脈を無視した引用だとし辞任を拒否している。
2016年5月、コリンズはツイートに東洋人に関する不満を連投。東洋人は批判的人種理論(CRT)を学校で教えることに消極的であること、BLMに興味がないこと、少数派優等生という神話を広げ、白人至上主義に迎合して自分らの立場を良くしようとしていると批判。そして最後には下記のように締めくくった。
トランプに対して声を上げる東洋人は何処に居るの?あの人たちは自分たちもトランプのリストに載っていることを知らないの?
彼らは自分たちだって強制送還されたりプロファイルされたり殴られたりするってことを知らないの?ハウスニガーだってニガーなのよ。所詮は「召使」なのよ!
ハウスニガーとは、奴隷制度のあった頃に大農場で野外のキツイ野良仕事ではなく、屋内における比較的楽な家事担当の奴隷のことを指す。それで「ご主人に媚びて優遇された奴隷」という意味になり、現在では黒人の間では最悪の侮蔑語である。上記のツイートには非常に問題な前提がいくつかある。
ハウスニガーという言葉に、彼女のこの人種差別的思想が集約されていると言える。はっきり言って彼女は東洋人のみならず黒人に対しても非常に失礼なことをいっている。この発言は有色人種はすべて白人の奴隷だと言っているも同然だからだ。
私は最近のキャンセルカルチャーは嫌いである。人が何年も前にまだ10代だった頃に書いたツイートが発見されて仕事を首になったりするのはおかしいと言ってきた。先日もティーンボーグの編集員になった黒人女性が10年前高校生だった頃に東洋人の先生について書いた悪口が暴露されて就いたばかりの編集員の仕事を辞任に追い込まれるという事件があった。高校生だった彼女が書いたツイートなど単に教師に対する典型的な生徒の悪口で、そんなことで10年後大人になった彼女が辞任に追い込まれるなどやりすぎだろうと私は思った。
だが、10年も前に子供だった頃に書いたツイートくらいで大人の人間が辞任に追い込まれるというのであれば、ほんの四年前にすでに役職についていた人間が東洋人を奴隷と呼んだことが免除されるとは到底思えない。いや、キャンセルカルチャーが大嫌いな私ですらそんな人間は教育という場に居るべきではないと考える。
さてそれでは本人はこのことについて何を言っているのか。一応謝罪にならない謝罪声明を発表したが、それは自分のツイートは文脈を無視して取り上げられたもので、ちょうどトランプが差別や分断を掲げて大統領に当選したばかりという背景があったと言い訳をした。そして今大事なのは最近ひどくなったアジア人への暴力も踏まえて、アジア人の兄弟姉妹たちと一緒に人種差別と闘うことだ、と綺麗ごとを言ってしめくくっている。だが、その「謝罪文」に寄せられた批判は結構て厳しい。
彼女が立て続けに連投したツイートはすべて紹介されているので、文脈を無視した引用という言い訳は通用しないし、トランプが人種差別者だったかどうかという話と自分が東洋人を侮辱した話とどういう関係があるのだ、これまでずっと東洋人の悪口を言ってきたくせに、今更そんなことを言うのは捕まったからだろう、言い訳はいいから早く辞めろというものがほとんど。彼女を擁護している人は誰もいない。
それにコリンズ自身がこれまでにも他人のキャンセルに積極的に参加してきていることからして、自分だけが例外だと思うのは驕りというものだろう。同学校区の黒人団体も彼女のツイートは人種差別であるとして批判。コリンズがこのまま職務についていられるとはとても考えられない。
結局差別差別と騒いでいる人間の方がずっと差別的なのだ。自分が差別主義者だからこそ他人も皆そうに違いないと思っているだけ。
キャンセルに値する人がいるとしたら、コリンズのような人を指すのだろう。
アップデート:このエントリーを書いた直後、サンフランシスコの教育委員会は投票でコリンズの退職を決めた。しかし3月31日のこの記事によると、コリンズはSF教育委員会を相手取って自分の言論の自由が損なわれたと訴訟を起こした。その訴訟の言い分はというと、、
黒人や茶人(ラテン系)の子供を人種差別的ないじめから守る代わりに、コリンズ女史が全ての過小評価され、植民地的及び弾圧された人々すべてを団結さえ人種差別と弾圧と闘うためにした、比喩的表現を歪曲してその使者を犠牲にすることにした、
コリンズは教育委員会の他にも同僚数人相手に訴訟をおこしており、なんと合計8700万ドルの慰謝料を請求している。自分のやってことの意味が全く理解できていないようで、全く反省の意図はみられない。やっぱりあの謝罪文はペテンだったのだ。