苺畑より In the Strawberry Fields

苺畑カカシと申します。在米四十余年の帰化人です。

トランプ大統領はどうやって勝ったのか

昨日はどうしてカマラ・ハリスが負けたのかという話をしたが、今日はどういう人たちがトランプ大統領に投票したのか分析してみたい。資料はマグクラブより

若い世代の票が増えた

下記はロイターの出口調査によるもので、ごらんのように若い世代の共和党支持は全体的には民主党に負けているとはいうものの2020年に比べると確実に増えている。特に18歳から29歳の男性の間では共和党の方が優勢である。また女性票も2020年より5%も増えている。あれだけトランプは女性の権利を奪おうとしているというプロパガンダを聞かされているのに、若い女性の共和党支持が増えているというのは興味深い。若い女性の37%という数は大きい。

若い世代の票が増えたl
ラテン系票が増えた

トランプは過去100年にわたり共和党に投票したことのなかった群の多くを共和党に塗り替えた。例えばテキサスのスター群、97%がメキシコ系で1892年以降共和党が勝ったことがない。そこでなんとトランプは57.7%(ハリスは41.8%)で2020年から21%増加。

ミネソタ州のカールトン群やフロリダ州マイアミデード群(19%増加)など歴史的に民主党支持の群が和党にひっくり返った。

ラテン系は元スペイン領土だった国がほとんどなので、多くがカトリック教徒である。つまり文化的には非常に保守的な人が多いのだ。

ラテン系の男性は圧倒的にトランプを支持
イスラム教徒がトランプを支持!

トランプ大統領ほどイスラエルに友好的な大統領は居ない。にもかかわらずなぜモスリムがトランプを支持するのか、と思われるかもしれないが、なんと90%以上もスリムのミシガンのディアボーン市は共和党が圧勝した。実はアメリカのモスリム有権者イスラエル撲滅よりも自分らのアメリカでの生活のほうが大事なのだ。また同胞がこれ以上戦争で死ぬことも望んでいない。だからトランプ大統領が中東に平和をもたらすと約束したことを支持したのである。

労働階級の支持が激増

昨日もちょっとお話したように、スイングステートには高卒の労働階級が多い。労働階級は伝統的には労働組合など民主党支持者が多かった。しかし民主党のエリート主義に完全に見放されたと感じた労働階級がトランプ支持に翻ったのだ。

町山智浩 @TomoMachi 残酷な事実:アメリカの赤い州共和党が強い州)は州民の大卒率が全米平均の大卒率43.1%より低く、平均より大卒者が多い州は青い州民主党が強い)になる。大卒率が全米平均くらいの州は共和党民主党が拮抗する「接戦州」になる。

昨今のアメリカの大学はレベルが下がっている。理工系や法律系はいいのだが、それ以外の文系はエリート校になればなるほど左翼リベラルに洗脳されてしまっている。

大学を出ていない=教養がないではない。スティーブン・クラウダーも指摘しているが、長距離運転をしているトラックの運転手など運転中にポッドキャストを聴いたりしているため、大学でジェンダースタディーなどを専攻してエコーチェンバーの中で生きてるエリートなんぞよりずっと教養がある。

カリフォルニアの選挙結果

私はカリフォルニア住まいなのでカリフォルニアについてちょっと書いておこう。カリフォルニアは青い州と言われており、近年はずっと民主党が勝っているが、実はブッシュWの頃までは大統領選で共和党が勝つのは不思議でもなんでもなかった。知事も共和党が多く居た。それが変わったのはオバマの代になってからだ。しかし今回の選挙では確かにハリスが圧勝したとはいうものの、トランプ支持は2020年に比べて激増している。

カリフォルニアは海岸沿いの人口が多いので群ごとには共和党が優勢でも数からするとやはり民主党が勝ってしまう。

カリフォルニア州共和党支持が劇的に増えている

選挙の際は政治家だけでなく地方の法律の是非も問われるが、今回万引きや窃盗などの罰を重くするべきという法律は70:30で圧勝した。また家主の権利を弱体化させる法律は拒否された。これらは人々の生活に直接かかわってくる法律なので、非常に良い結果だったと思う。

2000万票はどこへ行ったのか?

今回の選挙は民主共和とも合わせて近年で最多の投票率だったという話であるが、なぜか投票数が前回よりも2000万票少なかったという統計が出ている。特にバイデン政権が2020年に獲得した81,282.916票からカマラ・ハリスが今回獲得した票数の66,227,894を比べると、15,055,022票減ったことになる。いったいこの1500万票はどこへ行ったのだ?民主主義が無くなるかもしれないというこの大事な選挙に1500万人もの民主党支持者が投票しなかったなんてことがあるだろうか。

 

2020年の選挙の後、私はバイデン勝利は統計的に不可能ではないが先ずあり得ないというエントリーを書いた。これはそれまでの統計上、どちらの大統領候補が勝つかを予測する方法について書いたもので、それによればすべての方法でトランプが勝つと予測されていた。だから2020年はおかしいと皆思っていたのだ。

ところでハリスの獲得した票数は2012年と2016年の平均6500万票と同率である。つまり2020年だけが飛びぬけて多いのだ。なぜだろうね?