苺畑より In the Strawberry Fields

苺畑カカシと申します。在米四十余年の帰化人です。

ハマス、人質40人の行方つかめず停戦交渉は座礁

こちらCNNの記事、ハマス、人質40人を確保できず 停戦交渉によると、ハマスは停戦交渉に必要な40人の人質の行方を把握していないことが明らかになった。

(CNN) イスラム組織ハマスは11日までに、停戦交渉の第1段階で必要とされる人質40人の居場所を現在特定できていないことを示唆した。イスラエルの当局者や交渉に詳しい情報筋が明らかにした。把握されている以上の人質が死亡している恐れがある。

交渉当事者らが示した枠組みでは、戦闘休止の最初の6週間でハマスは人質となっている女性や病人、高齢男性ら40人を解放し、これと引き換えにイスラエルは国内に勾留しているパレスチナ人数百人を釈放する。

交渉を仲介しているカタールやエジプトの情報筋によると、ハマスは解放対象となる生きている人質は40人もいないと伝えてきたという。CNNが把握している状況からも、対象となる人質は40人以下であることが示されている。

人質が生きて解放されるとハマスイスラエルに伝えられないこと、あるいはそうすることに前向きでないことは交渉の大きな妨げになっていると情報筋はCNNに明らかにした。イスラエル当局者によると、ハマスが対象となる人質40人を確保できないとみられることから、イスラエルは兵士ら若い男性を対象に含めるよう求めている。

昨年11月の戦闘休止以降行われてきた交渉で、イスラエルは繰り返し人質の一覧と安否を明らかにするよう要求してきた。ハマスは人質の居場所を確認して集めるには戦闘の停止が必要だと主張している。昨年の戦闘休止の前にもハマスは同様の主張をし、戦闘休止の延長に必要な人質を集められなかったため、戦闘は再開された。

生きている人質約100人の大半はイスラエル軍の男性兵士か、予備役対象となる年齢の男性と考えられている。ハマスはこうした人質らを利用して、後に行われる交渉でより高いレベルの囚人の釈放や恒久的停戦といった大きな譲歩を引き出そうとすると見られている

今もなおガザに残っているとされる人質の数は136人。ハマスはそのうちの70人は死んだと言っている。もしそれが本当なら64人はまだ生きていることになるが、その40人も生死がはっきりしていないというのはどういうことなのか。

実は私はこれはあまり驚くに値しないと考えている。私はイラク戦争の頃からイスラム教徒によるゲリラ作戦の汚さを観察してきた。だから私にはちょっと解ることがあるのだ。ハマスにしてもイスラム国にしてもタリバンにしてもそうなのだが、これらの組織は我々が思うような政府とか軍隊のような組織ではない。

確かにリーダーは存在するが、上層部は同じ部族の親戚縁者たちで成り立っている。そして権力や金があるのは、この上層部と縁故関係で繋がっている部族たちだけなのである。一応この組織の人間として働いてはいるが、実際には上層部と直接親しい関係にない下層の部族もいる。こういう下層部族は必ずしも上層部と同じ行動を取っていない。

彼等が上層部に協力したり命令に従ったりするのは、それが自分らに直接的利益になる時だけだ。それで人質の話になるが、ハマスは10月7日にイスラエルから人質を取ってきたら一人いくらで買い取ると言っていた。しかしあまりにも多くの人質が捉えられたため、ハマスも金の払いっぷりがそれほど良くなかったのかもしれない。また人質をとってきた奴らも交渉次第でハマスからもっと賞金を分捕れるとおもったかもしれないし、ハマスほどではなくても別のテロ集団がもっと金を出してくれるかかもしれないと考え自分らで勝手に人質を拘束した可能性はある。

イラク戦争の時にイラクでは西洋人がかなりの数拉致され人質になったが、人質を取られた政府はテロリストと交渉しようにも、一体誰が人質を拘束しているのか分からないことが多く、テロ集団の上層部も情報がないことなどもあった。

だから私は今回もそうやってハマス司令部とは直接連絡を取っていない別のテロ集団や部族が人質を拘束している可能性は大きいと思っている。彼等はハマスにだけ得をさせる義理はないし、待っていれば自分らで直接イスラエルと交渉できるかもと思っているかもしれない。

こういう下っ端の部族は大事な人質だから傷つけてはいけないなどという気づかいなどしないし、イスラエル空爆で身内の一人でも殺されようものなら人質を容赦なく拷問し、時には死なせてしまったこともあったかもしれない。碌に物も食べさせず病気になっても治療もしなければ、故意に殺そうと思っていなくても死んでしまうことは大いに考えられる。また自分らが避難しなければならない状況になり、人質など足手まといになってしまった可能性もある。

私は今までこういうことを言うのは控えて来たのだが、残念ながら人質の殆どはもうこの世の人ではないと思う。こんなことは口が裂けてもXで言うつもりはない。何故ならXにはイスラエル在住で未だに行方不明のイスラエル人の身内や友達の人たちが大勢いるからである。

ハマスにとって人質返還のために停戦が出来ればそれに越したことはないはずだ。60人以上も人質が生きているなら、小出しにして停戦を長引かせることができるはずだ。だが最初の40人も返せないとなると、もうハマスは返せる(生きている)人質など持っていないのではないかと疑わざる負えない。