苺畑より In the Strawberry Fields

苺畑カカシと申します。在米四十余年の帰化人です。

はっきりしないオリンピックのトランスジェンダー及びDSD方針

先日渡辺直弼氏がIOCでは12歳未満に性転換をしていないトランスジェンダー選手の女子競技参加を禁止したとして、「事実上の『締め出し』に...トランスジェンダーに厳しいパリ五輪」というニュースウィークの記事を紹介していたので、ええ?本当?と半信半疑で読んでみた。すると、、

国際オリンピック委員会IOC)は今年1月に指針を改定。以前は男性ホルモンのテストステロン値が一定期間、基準値以下のトランス女性は女性競技に出場できるとされていたが、12歳になる前に性転換を完了した選手に限るという基準が設けられた。

とあってびっくり。私はトランスジェンダー選手の女子競技参加には断固反対の立場であり、この問題については詳しく追っているつもりだったが、7月にIOCがこのような発表をしたという事実は聞いていなかった。
今回アルジェリアのボクサー、イマーヌ・カリーフ選手の映像を見て多くのジェンダー批判者(GC)の人達がカリーフ選手をトランスジェンダーだと早合点したことから考えて、この新方針はほとんどの人が認識していない。またカリーフ選手に関する多々の記事でもIOCが事実上トランス自認男子の女子競技参加を認めていないという報道をしているものがない。さらにIOC自身が2021年に公表したジェンダーに関するフレームワークを未だに更新していない。このような大事な変更は大々的に取り上げられるべきで、ニュースウィーク以外のメディアが全く報道していないことから考えて、これはニュースウィークの早とちりなのではないかと思った。しかもこの記事の次の節で、

また、出場資格の判断が各競技組織に委ねられているため、複数の競技で厳格な基準が適用されることに。パリ五輪では陸上、自転車、水泳、ラグビー、ボート、ボクシングなど少なくとも10の競技で、性転換の年齢やホルモン値の基準などの厳しい制約が課される。

と書かれており、もしIOCが全競技で一律のトランスジェンダー方針を打ち出したなら、各競技ごとに色々な基準があるのはおかしいのではないかと思ったのだ。このことを私は自分のノートで簡単に書いたのだが、その後気になったので色々調べて言ったら、インディペンデントの記事でこの話をもっと分かりやすく説明していたので読んでみたところ、この記事によると参加資格に関してIOCは10項目の基本的ガイドラインを設けているが、12歳未満で性転換を完了させた男子のみが女子競技参加の資格があるとするのはそのうちのひとつである。しかしこれはあくまでもガイドラインであり、すべての競技に一律に義務化されているわけではない。

実際誰に参加資格を与えるかは前にも述べたように各競技の国際機関がそれぞれ決めるようにIOCは権限を委ねている。で、どの競技がこのガイドラインを取り入れているかというと、World Athletics(陸上)Fina(水泳協会)及びサイクリングである。サイクリングは男子枠をオープンとして誰もが参加できるようにしている。World Rowing(ボート競技)は上記の規則に加えテストストロン値2.5nml/Lを少なくとも24か月保つとしている。

ラグビーIOCガイドラインに従っている。トライアスロン、テニス、アーチェリーは性転換の項目はなくテストストロン値が一定値を下回れば参加できるとしている。その他の競技はケースバイケースで判断されている。

 

では肝心のボクシングはどうなのかというと、本来であるならば国際ボクシング協会IBA)に判断を委ねるべきところをIOCIBAは信頼できないとして関係を絶ってしまったため、今回はIOCの基準で判断された。これによればカリーフ、リン両選手は大人になって性別移行をしたいわゆるトランスジェンダーではないと判断されたわけだ。。

 

しかし問題なのは彼らがトランスジェンダーかどうかではなく、彼らが生物学的に女子なのかどうかである。これに関してはIBAがそうではないと主張している。彼らをトランスジェンダ―だと思って叩いていた人たちも、それは彼らが女性を自認しているだけの男性だと思ったから批判していたのだ。彼らが生まれた時から女性と認識されていたとしても実際に第二次性徴期に男子テストストロンの恩恵を受けて育っていればトランスかどうかはどうでもいいのである。IOCはその点をどのように判断したのか、IBAの検査と何故結果が違うのかを説明すべきである。

 

IBAは性別検査の際に男性ホルモン値を計るのではなくDNA検査のみでXXのみが女子であると判断しXYの個人は失格とする方針を取っている。それというのもホルモン値は人工的に下げることが出来るので男女の判別には役に立たないという理屈だ。

 

IOCも2000年までDNA検査を女子選手全員に行っていたが、トランスジェンダー活動家の影響でそれは廃止になった。その後はテストストロン値を一定数に下げることが要求されるようになったが、テスタストロン値だけ下げても男子の運動神経が女子のそれと同率にならぶわけではないという理由でテスタストロン検査も2021年で廃止している。DNAテストもせずホルモン値も調べないのだとしたら、いったいどうやって男子と女子の判別をするのだろうか?

ところで私はカリーフ選手や台湾の林郁婷選手がDSDであるという説にも100%納得していない。それというのも彼らがDSDではないかというのは単なる憶測であり真実は全くはっきりしていないからだ。彼らは生まれた時に女子と判定され、その後も女子として育ったと主張しているだけで、彼ら自身が自分らはDSDであると公表したわけではない。彼らがDSDだとされているのは国際ボクシング協会IBA)が彼らの性別鑑定をした時には彼らを男子と判定したと言う事実に基づくものだ。しかしIBAが何を根拠に彼らを男子と判定したのかは公表されていない。IBAの副会長は公式にDNA検査の結果この二人はXYクロムゾンが発見されたと公表している。

 

IBAの判定はこの二人は「女子ではない」というものだけで、二人がDSD疾患を持っているということを証明するものではない。極端な話、彼らが何の異常もない普通の男子である可能性すらあるのだ。

 

トランスジェンダーの女子競技参加資格を単に12歳未満で性転換を完了した人としてしまうと、普通の男子でありながら女として生まれ育ったと言い張る偽DSD選手が出てくる可能性が高い。実際私はカリーフ選手も林(リン)選手も本物のDSDであるかどうかかなり疑わしいと思っている。

 

もしこの二人がDSDで外性器は女性であるため生まれた時に女子あと判断されたというのが事実だとしても、思春期を過ぎた時に明らかに身体は男性体に成長している。この時点でなにかおかしいと気づかなかったのか?アルジェジラは後進国なので仕方ないとしても、台湾は先進国だ。特にエリートクラスの女子アスリートの場合は遺伝子検査で失格になる可能性を考慮しなければならないことは知っていたはずだ。女子アスリートとして時間と労力を投資する前に遺伝子検査をしておくべきだったのではないか?やたらに運動神経がよく傍目からみても男に見える女子は、なにかおかしいと気づくべきだった。

 

仮にふたりともIBAで検査を受けるまで自分達がDSDであることを知らなかったのだとしても、その事実を知った時点でオリンピック参加は諦めるべきであった。それをせずに参加したのだから、男が女を殴っていると批判されても文句はいえないと思う。しかし一番の責任は生物学的男子を女子競技に参加させたIOCにある。

 

IOCは他の運動協会がやっているように、思春期に男性ホルモンの恩恵を受けていない個人のみ女子とすると規定を変え、各競技ではなくオリンピック全体で一律の規定をつくるべきだ。そうすればトランスだろうとDSDだろうと男子による女子競技参加は全面的に廃止でき、今回のような混乱もおきない。

 

元々男として生きて来た人が途中から女だと言い出した場合には判断は簡単だが、思春期以降に才能ある男子を国ぐるみで女子として仕立て上げ、DSD疾患があると偽って男子を送り込んでくる国がないとは言い切れない。中世のヨーロッパで声の綺麗なボーイスプラノの少年の睾丸を切除して高い声を保つなどという残酷なことをやっていたことを考えれば、オリンピックで勝つために男子を女子と偽ることなど朝飯前だろう。