本日13日の金曜日、デイリーワイヤ―(DW)制作のモキュメンタリー映画"Am I racist?"(僕ってレイシストなの?)を観て来た。見出しに書いた通り、この映画はDWのマット・ウォルシがDEIを学ぶという設定で様々なDEI(多様性、平等、包括性)活動家たちをインタビューしたり講演に招いたりして彼らの偽善を暴く映画である。
読者諸氏もご存じだと思うが、今やDEIは莫大なビジネスである。大手企業では大金を払ってDEI「専門家」の講師を招きセミナーを行うが、その際、講師に支払われる一回の講演料は数千ドルから数万ドルである。DEIの大御所とも言われるロビン・ディアンジェロはマットとの2時間のインタビューで$15000ドルも請求してきた。
マット・ウォルシとベン・シャピーロの座談会でベンが「あの人たちは安くないよ。僕は請求書を見たけど講演料は大したもんだよ」というようなことを言っていた。
映画はマット・ウォルシが超ウォーク(WOKE)なリベラル男性に扮し、DEIについて学ぶ旅に出るという設定で、様々なDEI専門家たちを反人種差別に関する映画を作っていると言って招待し(嘘ではない)、講演やインタビューの模様を撮影するというものだ。マットは前作「女とは何ぞや」で保守派活動家として結構有名になってしまったので覆面捜査は難しかった。現に最初に参加した勉強会では講師や参加者たちに正体がバレてしまい追い出された挙句に警察まで呼ばれるという事態が起きてしまった。それでマットは黒淵メガネを淵無眼鏡に取り替え、長髪のかつらをかぶって後ろでお団子にし、リベラル教授が着るようなツイードのジャケット、下はスキニージーンズと素足にスニーカーという出で立ちでWOKE研究に挑んだ。
マットの演技は大したもので、DEI専門家や勉強会の参加者の前ではバリバリ左翼活動家の役を演じた。相手が普通の人の場合でもリベラルのキャラクターを演じ通し、DEIなどバカバカしいと思っている一般市民から馬鹿にされた態度を取られてもそのキャラクターを崩すことなく、DEIの教科書通りの発言を貫き通した。私は笑いをこらえられず、映画のあちこちで噴出し大笑いをした。マットはよくこれだけ真面目な顔をしていられたなと感心した。
この映画に諮らずも「出演」してしまったDEIの専門家たちは、DWに騙されておちょくられたと苦情を述べている。しかしマットはこれらの専門家たちを招いて批判的な質問をしたわけでも失礼な態度をとったわけでもない。マットはあくまでもDEIの熱心な生徒として礼節を保ったまま質問したり意見を述べたりしたのである。だからこそ専門家たちはマットを警戒せずに本音を述べ、彼らの薄っぺらな論理やバカげた概念が暴露されてしまったのである。
ところでもしDEI講師になりたかったらオンラインにいくらもインチキサイトがあるので、そこで数時間の授業を受ければ講師の資格を得ることが出来る。それでマットはこの資格を示すカードをちらつかせて自分も勉強会を開き大々的に宣伝した。それが地方局の目にとまり、朝のテレビ番組にDEI専門家として招待されてインタビューを受け、まことしやかにインチキ演説をぶったが、なにしろDEI専門家の言うことなので司会者たちは真に受けて真剣に話を聞いていた。
マットが開いた勉強会では、マットによるハチャメチャな講演に十数人が参加した。良識ある参加者が二人、最初から何かおかしいと思って席を立った。なんか変だと思って我慢して聴いていた参加者の半数が途中で席を立った。だが、それでも数人は残ってマットのデタラメな講演に耳を傾けていた。こんなに簡単に騙されるとは、DEIはもうすでにカルトだな。
この映画は本日公開だが前売りの売れ行きは結構いいらしく、1500の劇場で公開されている。元来ドキュメンタリーフィルムというのはあまり人気がないので、扱ってくれる劇場はさほど多くない。
映画評論家たちは批判的な評論する書こうとしない。また小さな個人経営の劇場などは左翼から脅迫をうけて映画公開を中止したところもある。いったい多様性や包括性はどうなったんだろうな?