苺畑より In the Strawberry Fields

苺畑カカシと申します。在米四十余年の帰化人です。

誰でもキャンセルカルチャーの犠牲になりうる

たった一人のクレームで反ワクチン本がアマゾンのリストから消えたのは、良いことなのか?

昨日ツイッターで、とある日本人女性がアマゾン社に対して、内海総氏の新著「コロナとワクチン」が売れ筋ランキングで一位になっていることにクレームをつけた。

「アマゾン社は多くの日本人を殺す可能性のある反ワクチン本を日本ベストセラーリストに載せている責任を取るべきだ。これは公共の健康に対するテロ行為だ。このようなことは見過ごされてはならない。」

その直後、この書籍はベストセラーリストから外されていると別のツイッターさんが報告。元のクレームをした人は感激して

わ〜!!こんないちユーザーからの声を聞いてくれるなんて、本当に感激です。単なる傍観者でいなくて良かったです

とツイート。周りの人たちも「よくやった」と喜んでいた。しかしこれは本当に喜ばしい出来事なのだろうか?

私を含め数人の人々が、たった一人のクレーマーが苦情をツイッターで書いたくらいで、アマゾンが特定の書籍をベストセラーリストから外すなんて怖いという反応を示した。時間的にいって、アマゾンが書籍の内容をしっかり吟味する暇があったとは思えない。アマゾン社は反ワクチンという面倒くさい本をそのままベストセラーに載せておくのはよくないと判断したのか、面倒くさいことに巻き込まれたくないと思って外したのか、それともただの偶然なのか私には解らない。私が気になったのはアマゾンの行動もさることながら、人々がこれが良いことだったと思っている点なのだ。

私は内海氏がどんな人かは知らない。彼は単なる陰謀論説者なのかもしれない。彼の流す情報は有害なのかもしれない。だがずっと本当のことを言い続けている多くの人たちが陰謀論者扱いを受け、そのキャリアを潰されている現実を考えると、たとえ中身がどんなものであったとしても(個人情報や国家機密や暴力扇動と言ったものでない限り)そう簡単に弾圧されてしまう文化が社会にとって良いことだとは思えないのだ。

前置きが長くなったが、ワクチン関係のでやはり言論弾圧の身をもって体験している人の話をしよう。アメリカの生物学者にブレット・ワインステイン博士と言う人がいる。この人はもともとはエバーグリーンステートカレッジという小さな大学で生物学の教授をしていたが、あることがきっかけで辞職を余儀なくされた。事の発端は2017年に学生たちが「欠席の日」という恒例行事を行った時、それまでの黒人及び有色人種生徒が学校を休むというやり方ではなく、白人の教授や生徒や職員が一日欠席させるという提案をした。この「欠席の日」というのは、もともと黒人たちの価値を再確認するために黒人が一日居ないことで出る弊害から、その価値を認めてもらうために出来た日だった。ワインステイン教授は黒人たちが自発的に欠席するのは彼らの自由だが、他人に対して行動を強制するのはリベラリズムの精神に反する、それこそ逆差別だとして欠席は拒否。その日もいつも通りの授業をしていた。

ところが50人からなる生徒達が教授の教室に乗り込み、教授を廊下の壁に追い詰めて吊し上げた。生徒たちは教授をレイシストと罵り、辞任しろと迫った。

もし読者諸氏がワインステイン教授がバリバリ右翼で敬虔なキリスト教徒だとお考えなら全くそれは違っている。教授は共産主義のバーニー・サンダースに投票したような左翼リベラル。若い頃から左翼の学生運動精神を持っていた。それで教授は反人種差別の学生たちとは共通点が多くあるはずで、話せばわかると思っていた。

しかし生徒たちは教授の話には聞く耳を持たず、そのまま校長室に乱入。大学側は教授を弁護するどころか学生たちの言い分をそのまま受け入れてしまい、挙句の果てにはキャンパス警察が学生たちの暴力から教授の身の安全を保障できないとさえいう始末。身の危険を感じた教授は同じく同大学の教授をしていた夫人とともに大学を辞任した。

学生たちは被弾圧者として抗議をしたかったのではなく、単に自分らが弾圧者になりたかっただけだと教授は言う。不幸なことにそれは達成されてしてしまった。

教授はその後夫人とともにダークホースというユーチューブチャンネルを開設。一般メディアが取り扱わないような科学説をデータや証拠を元に多々の専門家を招いてインタビューする番組だ。そのスタイルが人気を呼んで彼のチャンネルは成功していた。

ところが最近になって教授のチャンネルはユーチューブから二回の警告をもらう羽目になった。ユーチューブの規則では警告を三回もらうと永久凍結になるので、ワインステイン教授にはもう後がない。ワインステン教授が警告を食らったのはアイバーアクティンという薬の効果についてピエール・クロイ博士にインタビューした回と、武漢ウイルスのワクチン効力に関してロバート・マローン博士にインタビューした回である。マローン博士とのインタビューは削除されるまでになんと58万回も再生されていた。

ワインステイン博士は去年の当初から武漢ウイルスの武漢研漏洩説を唱えていた人でもある。一度はただのデマとしてユーチューブや他のSNSが検閲していた説が実は正しかったと最近になって認められるようになったのは、これだけでなく、ヒドロクロロキンの効果などがある。

最初はデマだとか陰謀論だとか言われながらも、やはりおかしいのではと言い続ける人が居たからこそ、真実がだんだんと解るようになってきたのだ。SNSとはそういう主流ではない考えを独自の考えを語り合える場所だったはず。だが、最近こうしたプラットフォームにおける検閲は中国共産党を思わせる激化ぶりだ。

私がいつも見ているスティーブン・クラウダ―も、549万登録者がいる人気チャンネルであるにも関わらず、度重なる規約違反ということで、もうずっと無収益が続いている。それでクラウダ―は最近ユーチューブ相手に訴訟をおこした。

こんな大物人気ユーチューバーでも、ユーチューブ様の鶴の一声でチャンネルは永久凍結されてしまう。今まで得ていた何百万ドルという収益が一瞬にして消えるのである。一つの会社にこんな権力があってもいいのか?

ユーチューブもアマゾンもグーグルもフェイスブックも民間企業だから誰に遠慮なく好き勝手に検閲する権利があるという人がいるが、彼らのサービスはすでにアメリカ人の生活の隅々まで入り込んでおり、彼らから締め出されたら買い物も容易に出来ない状態になっている。彼らは言ってみれば水道やガスや電気と同じような公共サービスの役割を果たしており、それが思想の違いで差別されるとしたら人々の死活問題にかかわってくるのだ。

数年前陰謀論者と言われた過激派右翼たちのSNSアカウントが次々に閉鎖された時、左翼たちは一斉に歓喜の声をあげ歓迎した。だがワインステイン博士は左翼リベラルである。彼のような人までプラットフォームを奪われるのであれば、もう誰も安全とは言えないのだ。内海氏の書籍がアマゾンリストから外されて喜んでいる人たちは、その絶大なるアマゾンの力が自分たちに向けられないと自信をもって言えるのだろうか?

参考記事:Meet the Censored: Bret Weinstein - TK News by Matt Taibbi (substack.com)