苺畑より In the Strawberry Fields

苺畑カカシと申します。在米四十余年の帰化人です。

反応ビデオに違和感があったのは私だけではなかった!

私はユーチューブを観ていて、時々遭遇するのが「リアクションビデオ」というもの。これは別の誰かが作ったビデオをそのまま映して自分らで反応するという動画だ。昔は他人の動画を少しづつ見せながら、ひとつひとつ反論していくというものが多かったのだが、最近は他人の作った動画をそのまま映して自分が「ふーん」「はーん」と反応している顔を映すだけで特に意見を言うでもなくそのままで終わるというのが多くなった。しかも元の動画を誰が作ったのかさえ言わない人も増えた。

私は前者のように人のビデオに自分の意見を足していくというやり方なら、フェアユースという形で著作権には触れないのかもしれないと思っていた(ただし日本ではこの規則がかなり違うので要注意)。しかし後者の、自分は何も貢献せずただ他人のビデオを放映して自分が反応してる顔だけを見せるのは、あまりにも怠慢ではないかと思った。しかもオリジナルの制作者の動画のリンクもつけないのは、ほぼ窃盗ではないかと思っていた。それで私はいわゆるリアクションビデオは嫌いだった。

ところが他人のTikTokを使って反応しているだけのビデオで大人気ニューチューバ―になり、月収何百万円という人がいるというのを知ってびっくりした。他人のビデオを観て「へ~、ふーん、やだ~うそ~」とやってるだけで億万長者になれるとは、なんという時代だろうか。

しかしこれはおかしいだろ、と思うユーチューバーやTikTokカーたちが現れた。下記はジャックフィルムスというユーチューバーの動画だ。ジャックは数年前にプロテンシェイクのパロディーコマーシャルを制作した。当時それなりの再生数もあったが、その動画がTikTokで何百万回も再生された。もしこの動画が彼のユーチューブチャンネルで再生されていたらジャックはその動画だけで10万ドル以上の収益を得ることが出来るはずだった。問題なのはこれらの再生は彼の許可なく他人がコピーを自分のチャンネルで再掲載したものだったため、ジャックの元には一銭の収益にもならなかったのだ。

ジャックの動画はTikTokで何度も再生されたため、TikTokの動画の反応動画をユーチューブに上げているジェイソン・デルーロJason Derulo)というチャンネルの目に留まった。デルーロはTikTokで見つけた動画に自分の音楽を付けて自分の反応している顔をつけるだけという動画をYTにあげて大儲けをしている男である。ジャックがいうに、彼の怠慢はすごいもので時には自分の顔をださずに音楽だけ加えて再掲載したり、時には以前の反応顔をつけて掲載していたりした。

このように他人の創作動画を創作者の名前も紹介せずに全部乗っ取って再掲載する人たちのことをジャックはフリーローダーと呼んでいる。

そしてその最たるユーチューバーがSSSniperwolfという女性。彼女のフォロワー数は5百万とかだそうで、かなりの大物。ジャックは特に彼女のやり方は悪質だとして第2チャンネルを作って彼女の批判ビデオばかり流し続けた。それに腹を立てたSniperwolfは何と生配信ちゅうにジャックの家まで押しかけ、ジャックの家を晒すと言うことをやってのけた。ジャックはその時自分も生配信中で参加者からSniperwolfがジャックの家の前で動画を撮っていると教えられて大ショックを受ける。

この事件でジャック及び他のユーチューバーたちがSniperwolfのやったことはDoxxingといってネット上では絶対にやってはいけない行為であると批判。Sniperwolfのチャンネルは凍結されるか、すくなくとも無収益にされるべきだと大炎上。

しかし彼女はユーチューブが非常に大事にしている人気チャンネルであるため、ユーチューブはのらりくらりと批判をかわし、一週間以上経ってからSniperwolfのチャンネルは一時的に無収益になると発表。彼女自身も謝罪メッセージを出した。

ま、これで一応一件落着といったところなのだが、ジャックもこれでは収まらないだろう。ただ、これ以上彼に何かが出来るというわけではないからSniperwolfのおかしなファンが押しかけてこないように身の回りは気を付けた方がいいだろう。

ただ私が思うに、ジャックは自分の動画のなかで、もしも誰かが自分の作った動画を許可もなく再掲した場合にはその都度ユーチューブに抗議すれば、ユーチューブから著作権侵害の知らせが再掲した人の途へ行き再掲を止めさせることは出来る。この事件のおかげでSniperwolfが何をやっているかに気付いた人も多いだろうし、今まで泣き寝入りしていた人も少なくとも彼女による再掲を止めさせられることが出来ることを知った。もしかすると中には彼女を訴える人も出てくるかもしれない。なので彼女の時代はそう長くは続かないのではないかという気がする。