苺畑より In the Strawberry Fields

苺畑カカシと申します。在米四十余年の帰化人です。

女子学生を守るはずの政策タイトルIXがバイデン政権によって骨抜きにされる

本日4月19日、バイデン政権は女子学生を差別から守るために作られたタイトルIXに女性を自認する男子を含めることで、タイトルIXそのものを完全に骨抜きにし、しかも男子学生が性被害の加害者として冤罪を着せられる危険を拡大した。

この改悪はLGBTQ+を学構内で性被害や嫌がらせから守るという名目でされたものだが、LGBTQ+の人権を守るという口実で割を食うのは常に女性が大半である。

バイデン政権は当初学校が女子を自認する男子の女子スポーツ参加を禁じることができないようにする項目を加えるつもりだったが、それは今回は見送ることになった。これについては共和党から激しい批判が出ており、選挙シーズンに共和党から責められる可能性を恐れてのことだろう。その代わり、バイデンは性加害を訴えられた学生の人権を守る項目を取り除いた。

ミゲル・カルドナ教育長官は、「この新しい規則は、誰もが安全で、歓迎され、彼らの権利を尊重する学校にアクセスできることを明確にする」と述べた。
「自分が誰であるか、誰を愛しているかという理由だけで、誰もいじめや差別に直面するべきではない。「悲しいことに、このようなことはあまりにも頻繁に起こっている」。

LGBTQ+への差別を禁止する項目が加えられる

今回の改悪で最も大きな項目はLGBTQ+学生の扱いだ。1972年に設立された法律の対象は生得的女子学生の人権を守るためのものであり、性自認や性嗜好は対象外である。

しかし今回の改悪でLGBTQ+を自認する学生が差別されたと感じれば学校に申し出ることができ、学校側は何らかの対応をしなければならない。問題なのはLGBは別としてTQ+以降の学生たちが何をもってして差別されたと感じるかはもう誰の目にも明らかだろう。

ここ数年共和党が多数議席を占める州のあちこちで、学校内においてトランスジェンダーを自認する子供を異性として扱うことを禁止したり、子供の性転換治療を禁止する法律が通っている。そして11の州で学校内のトイレや更衣室を生物学的性で区別することを強制し、異性を自認する学生の使用を禁止している。

このタイトルIXではトランスジェンダーを自認する学生を他の学生と同じように扱わないことは差別であるとされているため、男女別トイレや更衣室は差別と見なされ、州法に従っている学校がタイトルXIを違反してるとして連邦政府からの支援金を差し止められる可能性があるのだ。ただ、学校側が子どものトランス自認について親に伝える義務はこのタイトルIXとは矛盾しない。

タイトルIXが女子自認男子による女子スポーツ参加に言及していなくても、トランス自認学生が差別されたと訴えれば、女子チームが男子の入部を許可しなければならなくなる可能性は大きく、男子だと言う理由で奨学金を受け取られれないのもとトランス差別だと言われたらどうやって拒否できるのか、これでは全く分からない。

性加害の冤罪から学生を守れなくなる

もう一つこの補正案には問題点がある。それは性的被害を受けたとする方が簡単に加害者とされる学生を告発できると言う点である。

これはトランプ時代に、訴えられた方の学生の人権を守るために付け加えられた項目をバイデンが取り除く形となった。もともと何故トランプ政権がそんな項目を付け加えたのかといえば、それまでは性的関係のあった学生同士のいざこざで片方(主に女子)が一方的に性加害をされたとして訴えると、男子側は弁護の機会も与えられず退学処分になるなどひどい扱いを受けていたからである。

数年前に有名なケースで、レイプされたとしてその時使ったマットレスを一年中持ち歩いた女子大生がいた。しかし訴えられた男子学生が女子学生からしつこく言い寄られていたのを拒否したメールのやり取りを提出し、彼が完全に無罪だったことが証明された。

しかしその一年間、この男子学生はレイピストとしての汚名を着せられ、大学も卒業できず就職の機会も逃してしまったのである。バイデン政権は再びそういう事件を増やしたいようだ。

デボス(前教育省長官)規則の特徴であった、代表者を通じて学生同士が反対尋問を行うためのライブ公聴会の開催は、大学側には要求されなくなる。バイデン規則のもとでも生公聴会は認められているが、それはオプションであり、新たな制限が設けられている。

例えば、学生は遠隔地から公聴会に参加できなければならず、学校は「不明瞭または嫌がらせ」的な質問を禁止しなければならない。ライブ・ヒアリングに代わる方法として、大学当局は学生を個別に面接し、各学生が質問を提案し、その回答を録音することができる。

デボス前長官はこの赤い悪は女性や少女への攻撃であると強く批判。また性加害で訴えられた学生がカンガルー法廷で不当に罰せられる日がもどってくると語った。