苺畑より In the Strawberry Fields

苺畑カカシと申します。在米四十余年の帰化人です。

オーストラリア超下手クソのブレークダンサーがオリンピックに出られたからくり

パリオリンピックでは色々とおかしな話題が沢山あったが、そのなかでもオーストラリアのブレークダンシング女子の部代表のレイチェル・ガン(通称レイガンRachael Gunn, Raygun)の下手過ぎるダンスが大評判だ。彼女のパフォーマンスの得点はなんとすべての審査委員一致で0点。なにせとてもオリンピックのような世界選手権に出場できるようなレベルではなく、まるで私が寝床で足が攣ったときのもがき方みたいな踊りで、すでに多くの人達が彼女のカンガルーダンスを真似しておちょくる動画を上げている。冗談はともかく、なんであんなド素人がオーストラリア代表になどなったのだ?実はその裏にはちょっとしたからくりがある。

 

XでPapaBear@BigBearsFightというアカウントがRedditに載っていた記事を紹介していた。ご存知のようにオリンピックは競技の規則をそれぞれの国際機関に委託している。しかし現在世界ブレークダンシング協会なるものは存在していないんだそうだ。それでIOCは世界ダンススポーツ協会(The World Dance Sport Federation)に近づいた。ところがこの組織はもともと社交ダンスを司る協会でブレークダンスとは関係がない。

 

そのオーストラリア支部がダンススポーツオーストラリア(DSA)なのだがDSAはブレイクダンシングを司った経験がまるでないにもかかわらず、何故かオリンピック参加者を選出する任務を負わされる。そこでDSAはオーストラリアブレイキング協会(ABA)に連絡をとる。ところがこのABAと言う組織はオーストラリアのブレイクダンスを代表するような組織ではなく会員たったの20人という素人だらけの趣味の会にすぎなかった。そしてこの組織の創設者というのが誰あろうレイガンとその夫だったのである!それでオリンピック資格審査に参加したのはたったの15人で女子代表がレイガンとなり、彼女の夫がチームコーチとなったというわけ。

 

ブレークダンスの歴史は長い。オーストラリアほどの大国ならまともに競技をやれば何千人という参加者が集まったはずだ。なのに一体どうしてこんなことになってしまったのだろう?

 

それには先ずこのレイチェル・ガンというのはどういう女性なのかを説明する必要があるだろう。こちらビジネスインサイダーの記事から読んでみる。

 

レイチェル・ガン(36歳)シドニーにあるマクワイアー大学(Macquarie University in Sydney)の講師で専門は「ブレイキングの文化的政治学」という訳の分からない分野。

ガンはオリンピックに出場する前、2024年のオリンピックにアカデミックな視点から近づいたという。共著者のルーカス・マリーとともに、ガンはGlobal Hip Hop Studiesの2023年6月号に「オーストラリアのブレイキングシーンとオリンピック:スポーツ化の可能性と政治」と題した記事を発表した。この記事では、オリンピックの制度化がオーストラリアのブレイキンシーンにどのような影響を与えるかを検証した。

つまり彼女はダンサーなのではなく、ブレイクダンスについて研究している学者(学者と言えるかどうかは解らないが)ということらしい。もっとも彼女自身は2008年から夫のコーチの下、ブレークダンスを踊っており、その前は社交ダンスやヒップホップやジャズやサルサやタップといった踊りもやっていたと言っている。しかし16年もやっているというブレークダンスの腕前を見る限り、他のダンスの腕前もかなり疑わしいものがある。格言う私も中学生の頃に日本舞踊をやったことがあるが、あまりにも素質がなく三か月で辞めた(辞めさせられた)ことがある。単に昔やってたというだけでは何の意味もない。

 

彼女のパフォーマンス及び彼女をおちょくる人たちのビデオが観たい人は下記参照のこと。彼女は自分の動きはすべてオリジナルだと主張する。

 

結局のところIOCは彼女のウォークな主張に騙されたようだ。

 

カカシ注:8月15日 

どうやらIOCはオリンピックでの映像を著作権侵害という名目で再掲を禁止したようだ。昔の映像とかいくらでもユーチューブで観られるのに、パリオリンピックの映像はどんどん取り下げられている。なぜだろうね?

 

カカシ注2:

レイガンのビデオは添付できなくなったので、こちら彼女をおちょくってるビデオがあるので楽しんでください。実際にレイガンのパフォーマンスと変わらない。

youtu.be

 

アップデート:8月17日

下記はIOCの声明:

パリに向かうオーストラリアのブレイキングチームの選考プロセスは2日間にわたって行われ、オセアニア地域のすべての関心のある参加者に公開されました。国際オリンピック委員会(IOC)の基準に沿った世界ダンススポーツ連盟(WDSF)の規則を遵守し、このプロセスは公正で透明性のある結果を確保することを目的としていました。

2023年10月に開催された選考会では、オーストラリアのトップブレイカーが集まり、ヘッドジャッジ、9人の国際審査員、および委員長がコンペティションと選考プロセスを監督した。そこでレイガンがトップになったという。だとしたらこの審査員たちはどうかしてる。