さっきノートの方で「ティム・ウォルツは全米のトランスジェンダーの子供たちが性別適合手術を受けられるようにしようとしている」というデマが拡散という記事を見かけたこれは、LGBTQ NationのFact check:Will Tim Walz allow transkids across America to get gender-affirming surgery?の一部を訳したものだった。
記事はMaga War Roomというトランプ選挙陣営によるティム・ウォルツ現ミネソタ知事・民主党副大統領候補を批判した広告の「ファクトチェック」をしたもの。民主党はJ.D.バンス共和党副大統領候補のことを「おかしな人(weird)」だと言い張るので、この広告ではウォルツの方こそ頭おかしいという主旨の内容となっている。
広告の要点をまとめると、ティム・ウォルツは、、
- 学校の男子トイレにタンポンを配ることを義務付ける法律を支持した。
- トランスジェンダーの未成年者に対する性別適合手術を許可する法律を支持した。
- カマラ・ハリスは、ウォルツがこれらの法律を「全国規模で」施行することを望んでいる。
男子トイレにタンポン?
これは2024年1月から施行されているミネソタの法律 Minnesota Statute 121A.212がもとになっている。
学区またはチャータースクールは、生徒に生理用品を無料で提供する必要がある」と述べ、それらの製品を「学区が策定した計画に従って、4年生から12年生の生徒が定期的に使用するトイレにいるすべての月経中の生徒が利用できるようにする必要がある。」としている。
これは、特定の学年の公立学校内のすべてのトイレに当てはまり、ジェンダーニュートラルなトイレや男子トイレも含まれる。共和党議員が生理用品の常備は女子トイレのみとする補正案を提案したが、これは取り入れられなかった。
法律発案者のサンドラ・フェイスト州議員は「この法案は、月経のあるトランスジェンダーやノンバイナリーの学生が必要な製品に平等にアクセスできるようにするために、ジェンダーインクルーシブな構成として構成することが決定されました。」と言っている。
LGBTQ Nationは、男子トイレに常備するのはタンポンだけとは限らないので、このクレームは一部真実であると認めている。いや、一部どころか100%真実ではないか?生理用品が必要なのは女子だけ。男子トイレにも常備しろというからには男子を自認する女子が男子トイレを使う可能性があると言う意味だ。
未成年の性別適合手術を合法にする?
広告によれば、ウォルツ知事は未成年が性別適合手術を受けられる法律に署名したとしているが、それは事実ではないとLGBTQNationは言う。ウォルツ知事は法律に署名したのではなく知事命令でミネソタを性転換治療の聖域にすると発令したと記事にはある。法律と全く同じ内容の知事命令を出したのなら同じことではないかと思うが、実は知事が法律に署名していないというのは正しくない。
こちらFoxニュースの記事によると、『元陸軍州兵で元教師のウォルツ氏は、ミネソタ州をトランスジェンダーの外科手術やホルモン処方を求める子どもたちのための「聖域州」とする法案に署名した最初の知事の一人だった。これは、彼のより進歩的なLGBTQ政策のいくつかの基礎を築いた。』とある。
この法律は、ミネソタ州の裁判所に対し、思春期ブロッカー、ホルモン療法、手術などの治療のためにミネソタ州に来る人々に対する他の州からの起訴に従わないように命じている。この法律が可決される前の2023年5月、ウォルツはすでに州内でのトランスジェンダーの手続きの犯罪化を防ぐための命令を出していた。つまりウォルツ知事はこの法律に署名しているのだ。
さらにLGBTQ Nationはこの法律によってミネソタでは他所の州から来た未成年が性別適合手術を受けられるようになったというのも嘘だとしている。
とあるがこれも正しくない。ミネソタの通称「トランス難民法」HF146のテキストを読んでみたが、この法律はよその州で違法とされている未成年のトランス治療をミネソタで行った場合に、よその州の法律によって裁かれることはないというもので、そのトランス治療とは何かというとSec.5.543.23 Par(b)にこうある。強調はカカシ。
(b)「性別を肯定する医療」とは、医学的に必要な医療または精神的な医療をいう。
患者の性自認を尊重する医療(経験豊富で定義されるもの)患者、およびこれには以下が含まれるが、これらに限定されない。
(1)内因性二次性の発達を抑制するための介入
(2)患者の外見または身体を患者の外見または身体に合わせるための介入
(3)臨床的に重大な苦痛の症状を緩和するための介入
(4) 患者の性別の発達上適切な調査と統合
LGBTQ Nationは広告のこの部分を嘘だとしているが、嘘どころか完全に真実。引用する法律の内容くらいちゃんと読め、と言いたい。
カマラ・ハリスは、ウォルツがこれらの法律を「全国規模で」施行することを望んでいる
LGBTQ Nation自身が添付している記事のなかで、バイデン政権は子供の手術(SRS)を含むすべてのトランス治療を支持すると発表したとある。そしてカマラ・ハリスはこのバイデン政権の方針に積極的に賛同している。であるならば、カマラ・ハリス政権がこの方針を全国規模で施行することを望んでいると考えるのはごく自然なことだ。
LGBTQ Nationがこの主張は嘘だとする根拠は、ハリスの未成年の性転換治療支持はウォルツを副大統領に選ぶ前からのことであること、副大統領が政権の方針を決めることはないことを上げている。
ハリスが虹色政策を推進するために同じ思想のウォルツを選んだと考えるべきであり、ハリスがウォルツを虹色政策の責任者に選んで法施行の権限を与えればいいわけで、この議論は非常に弱い。
広告のこの主張が嘘だとするLGBTQ Nationの主張こそ嘘である。
ティム・ウォルツ批判広告の主張はすべて真実
結論としてティム・ウォルツ批判広告の主張はすべて真実であることがはっきりした。怠慢だよ、LGBTQ Nationは。