日曜日のスーパーボールのハーフタイムで、プエルトリコ出身のバッドバニーというラテン・ラップ歌手が出演し、それに対抗してターニングポイントUSAがカントリーやロック歌手を集めて裏番組ハーフタイムショーを行い大成功だったと言う話をしたが、その話題が全く収まることを知らない。Xでもネットのポッドキャストなどでも、TPUSAの大成功とNFL(全米フットボールリーグ)の失態について色々と取りざたされている。
先ず視聴率だが、スーパーボールの視聴率は史上最高で大成功と言いたいところなのだが、実はこれにはからくりがある。今回はスーパーボールがアメリカ国内だけでなく中南米でも放映されたたため、観ていた人はこれまでよりもずっと多かったというのが事実だ。だが問題なのは視聴率=購買率ではないということ。なぜならコロンビアやペルーの消費者はアメリカの消費者のような購買力はないからだ。
スーパーボールは一年で一番視聴率が高い番組。しかも5時間も視聴者を釘付けに出来るのだからスポンサーが巨額の6百から8百万ドルという宣伝費をかけてCMを放送するのだ。
そしてスポンサーが対象としている消費者は誰かといえば、それは年齢的に一番購買力のあるアメリカの中年(30代半ばから50代半ば)である。だからコマーシャルもその年代に合わせて90年代を懐かしむようなテーマが多かったのだ。
ところがこの一番大事な消費者層が大量にハーフタイムの30分近くチャンネルを切り替えてしまったのだ。これは何年も視聴者を独占してきたNFLに衝撃を与えた。NFLはTPUSAの生再生回数が3百万くらいなら、どうという事はないと踏んでいた。ところが蓋を開けてみたら、ユーチューブだけで同時視聴はすくなくとも6百万。その他のプラットフォームを合わせると2500万は固いという。これはNFLにとっては完全な計算違いだった。
TPUSAの成功は、ハーフタイムはもうNFLだけのものではなく開拓する価値のある時間枠だということを証明した。今までのように一旦スーパーボールに付けたチャンネルは試合が終わるまで替えないという常識はもう通じなくなったのだ。TPUSAは来年もやるといっている。今回はほんの5か月くらいの準備時間しかなかったが来年までには一年あるのだ。そして今回の成功からユーチューブにとっても十分利益になることがわかった。ということはスポンサーもつくということだ。
今回の出演は有名どことはいえ第一線で活躍する歌手の出演ではなかったが、今後はもっと人気のある歌手を招待出来るかもしれない。それに裏番組はなにもTPUSAだけでなくてもいいのだ。他の大手ネットワークがハーフタイムショーを作る可能性も多いにある。
中年のアメリカ人が欲しているのは政治色ばかりの全く親しみのない歌や踊りではなく、自分らが若い頃に流行った歌を家族そろって楽しめるショーである。他のネットワークやインターネットがそれを提供できるなら、そしてNFLが今後もDEIや諸外国の視聴者を対象にした番組作りをするのなら、今後もどんどんよそに視聴者を盗られてしまうだろう。
バッドバニーはラテン系の国々では人気のある歌手らしいが、アメリカではあまり知名度はない。確かに一部の若者の間では曲は売れているのかもしれないが、一般の中年のアメリカ人にはなじみのない歌手である。だからショーの最中でもほとんどの観客は声も上げず突っ立たままなんとなくショーを観ていた。
あちこちから上がって来るビデオでも、スポーツバーなどで試合を観戦していた人たちは、ハーフタイムになるとスマホをいじったりなんかして全然テレビを観ていなかった。NFLが完全に自分らの視聴者対象を間違えたと思う。