苺畑より In the Strawberry Fields

苺畑カカシと申します。在米四十余年の帰化人です。

お目覚め主義の終焉、左翼シンクタンクすらお目覚め言葉を使うなと忠告

今夏の南カリフォルニア(南加)は非常に穏やかな気温が続いている。7月に入ってから今までヒートウエーブと呼ばれる酷暑日というのが一日もない。このへんでは気温が30度以上になった日がないくらいだ。それでも8月も終わりに近づき、遅まきながら本格的夏がようやくやってきたよう。本日の最高気温は34℃まで上がる予報だ。もちろん南加としてはこの程度は序の口だ。南加が一番暑い時期は8月の終わりから9月中旬なので、まだまだ油断はできないのだが。

何故学ばない?老舗レストランチェーン「クラッカーバレル」がDEIまっしぐらで株大暴落

この間大型小売店のターゲットがあまりにもDEI/WOKE方針を取り入れすぎて売り上げ低迷が続きCEOが辞任に追い込まれたばかりだというのに、今度は南部料理で親しまれている老舗レストランチェーン、クラッカーバレルが新しいお目覚め方針を取り入れて大批判を浴びている。

クラッカーバレルは南部の家庭料理を出す店として全国的に人気のあるレストランチェーンだ。1969年にテネシーで生まれたこの店は外装も内装も開拓時代のアメリカの雰囲気で昔の農機具や揺りイスなどが置かれていた。レストランと売店が一緒になっていて、売店も西部劇みたいな雰囲気の店だった。

ところが最近この会社のCEOがリベラルな女性に変わり、レストランの内装がどこにでもあるようなモダンなファミリーレストランへと様変わりし、先日長年親しまれてきた店のロゴが左から右へと変わった。この新しいロゴの評判が非常に悪く、ロゴ発表と同時に会社の株が急落するという事態にまでなってしまった。

旧ロゴ(左)新ロゴ(右)

クラッカー・バレルは、木曜日に新ロゴの発表を受けて株価が急落し、市場価値がほぼ$100億ドル減少した。新しいデザインでは、長年使用されてきたオーバーオールを着た男性が樽に寄りかかっているイラストを廃止し、チェーンの名前だけをシンプルに配置したよりクリーンなロゴを採用している。ーCBSニュース

リベラルCEOたちは、お目覚め主義はもう時代遅れなんだってことになぜ気付けないのだろう?この間ジャグアーのお目覚めコマーシャルで大失敗したばかりだというのに。

民主党の間でお目覚め主義の言葉使いを止めようという動き

前回の選挙に負けて以来、民主党候補者たちは厳しい立場に置かれているが、プレイブックというラジオ番組で面白い話が取り上げられていたのでちょっと読んでみる。

青いブラックリスト中道左派シンクタンク「サード・ウェイ」は、新たなメモで民主党が使用を避けるべき45の単語とフレーズのリストを配布しています。同団体は、これらの用語が「私たちとあらゆる人種、宗教、民族の一般市民の間に壁を築く」と主張しています。サード・ウェイは、これらの言葉は「人々は単に言わないものだが、民主党から聞かされる」と指摘しています。

これらの表現は6つのカテゴリーに分類されており、その範囲は「セラピー用語」から「犯罪の正当化」まで多岐にわたります。著者たちは、これらの表現が民主党を「極端で分断的でエリート主義的で、曖昧な表現を多用する『 wokeness(お目覚め主義)』の強制者」のように聞こえると指摘しています。

「私が何か言ったから?」と題された文書で、サード・ウェイは「少数派を喜ばせるために、私たちは多数派を疎外してきた——特に文化問題において、私たちの言葉は優越感に満ち、高慢で傲慢に聞こえる」と、メモで指摘しています。

これは鋭い指摘だ。禁句のリストは凄く長いのだが、日本語に訳しても意味が伝わらないような気がするので英語のまま書いておく。

 Among the blacklisted terms: privilege … violence (as in “environmental violence”) … dialoguing … triggering … othering … microaggression … holding space … body shaming … subverting norms … systems of oppression … cultural appropriation … Overton window … existential threat to [the climate, democracy, economy] … radical transparency … stakeholders … the unhoused … food insecurity … housing insecurity … person who immigrated … birthing person … cisgender … deadnaming … heteronormative … patriarchy … LGBTQIA+ … BIPOC … allyship … incarcerated people … involuntary confinement.

日本でも聞いたことがある言葉をいくつかひろってみると、、

マイクロアグレッション、ボディシェイミング、カルチュアルアプロプリエーション(文化盗用)、シスジェンダー、デッドネイミング、ヘテロノーマティブ、家父長制、LGBTQIA+、アライシップ、、、、

などがある。これらの言葉が何を意味するのか読者諸氏がわからなかったとしても気にすることはない。ほとんどのアメリカ人にも理解できないからだ。正直こんな言葉は10年前くらいまでアメリカでも誰も聞いたことがなかっただろう。

サードウエイの代表マット・ベネットMatt Bennett)は、リベラルの問題点は一般市民が親しみのない言葉使いをすることにあると指摘する。

 「言語は、一般有権者に対して私たちが直面している中心的な問題のひとつであると考えています。それは、私たちが彼らの生活、考え方、話し方について理解不足であることを示しているからです。

左翼リベラルが言葉を使って人々を攻撃するのは今に始まったことではない。常に新しい言葉を作り出し、相手が理解できないと理解できない方が馬鹿なのだという態度を取る。そしてその言葉の本当の意味を人々が理解しはじめ、その内容が一般人には受け入れられないものになってくると、すぐに手のひらを返して、「その言葉は極右が私たちを悪者扱いするために作り出した言葉だ」と言い出すのである。

例えば「お目覚め主義=WOKENISM」や「トランスジェンダリズム」などが典型例だ。自分らで作り出し自分らで使い始めた言葉なのに、人々がその言葉を聞くたびにうんざりするようになると、「そんなものは存在しない」「陰謀論だ」といってごまかそうとするのだ。

サードウエイはこれらの言葉を使うことで、民主党が鼻持ちならないエリート主義であるという印象を持たれるのを避けるために、こうした言葉を使うなと忠告しているわけだ。

もちろんサードウエイは左翼リベラルのシンクタンクなので、こうした言葉使いの背景にある信念を捨てろと言っているわけではない。単に人々の心を使う策略として、こうした言葉は避けろと言っているだけだ。

日本でも左翼リベラルは何かと訳の分からないカタカナ英語を使うが、ちょっと前にXで懸命にトランスジェンダリズムを推進している人がいた。私は欧米諸国ではすでに色々な問題が起きていると指摘すると、「日本は欧米諸国とは違う」と反論してきた。私が欧米で失敗した作戦を日本でそのまま実行しているのに、何故日本だけが例外だと思うのかと問い詰めると、「日本の活動家たちは欧米と同じことなどしていない」と返してきたので、自分が使っているそのカタカナ英語はどこから来たと思ってるんだと呆れてしまった。

左翼リベラルが作り出した概念でいくつも意味不明な造語をつくりだし、それをそのままありがたがって使っている日本の馬鹿左翼活動家たちは、またまた一周遅れで置いてけぼりを食うのだろう。

お目覚め主義の終焉

サードウエイのように左翼でも頭のいい連中は、お目覚め主義はもう人気がないことに気が付いている。それを全面的に推し進めると決してよいことはない。 もう最近は”go woke, go broke"(目覚めよ、されば破産する)と誰でも知っている。それが理解できていないのがクラッカーバレルのフェミニストCEOのような活動家たちだ。